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いい意味でゴヤっぽくない感じ?フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス作「眠り」|伊勢丹美術館「アイルランド国立美術館名品展」より

アイルランド国立美術館名品展_フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス「眠り」【アイキャッチ】
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いい意味でゴヤっぽくない感じ?

そんな印象を受けるフランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス作「眠り」。

美術館で鑑賞したのはだいぶ昔のことです。

1994年(平成6年)に伊勢丹美術館で開催された「アイルランド国立美術館名品展」の図録をもとに記憶をたどってみました。

フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス作「眠り」とは

アイルランド国立美術館名品展_フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス「眠り」
  • 制作年:1800年頃
  • サイズ:44.5 × 77cm
  • 油彩、カンヴァス

「眠り」という作品を目にしたとき、ゴヤの作品だとは思いませんでした。私の乏しい知識によるゴヤの作品に対する先入観がそう思わせたのでしょう。作品にもよりますが、もっと緻密な筆遣いであったり、女性を堂々と描くイメージが強かったのです。

今にして思えば、「フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス」という名前から、すぐにゴヤを連動できなかったことも関係していたのかもしれません。

アイルランド国立美術館名品展の図録の解説には、興味深い一文があります。

この眠る若い女性の親密な肖像はゴヤには珍しい主題である。

出典:『アイルランド国立美術館名品展図録』
Mr.Adrian Le Harivel著 福満葉子訳 140ページ

これをもって私がゴヤっぽくないと感じたことの言い訳にしようとは思いませんが、自分自身で納得したのも事実です。

「眠り」はほぼ漆黒の背景に、白い着衣の女性が横たわっている構図です。

図録には「若い」とありましたが、私には年齢の特定が困難です。

眠る女性のデコルテには月の光(?)が差し込んでいるのでしょうか。雰囲気としては、長い長い眠りについていて、いつ目覚めるのかわからない印象も受けます。清らかな水辺で目を閉じているようにも見えます。

私自身、髪を伸ばしたことがなく、妻も短めなのでピンとこないのですが、「眠り」の女性は髪を結った状態で眠っているように思えます。そういうものなのでしょうか? 私は髪は解いてから休むものだと思っていました。

ゴヤは女性の横顔(表情)を鮮明には描いていません。これにより鑑賞者は、この女性がどのような顔立ちなのかをはじめとして様々なことを頭の中で空想することとなり、作品の魅力を高めることにつながっているのだと思います。

ゴヤは見たままを描いただけかもしれませんが、鑑賞者側に想像を委ねる要素を持った作品になっています。「鑑賞者に想像を委ねる」というのは、観る側を楽しませるすばらしい方法なのかもしれません。

フランシスコ・デ・ゴヤとは

スすぐわかる!フランシスコ・デ・ゴヤとは

フランシスコ・デ・ゴヤの生涯については、『すぐわかる!フランシスコ・デ・ゴヤとは』をご参照ください。

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わたなびはじめの感想:ゴヤ作「眠り」について

眠るイメージ眠るイメージ

寝顔を写真に撮られることに抵抗を感じませんか?

私は大口を開けて寝ている質なので(多分)、恥ずかしくてやめて欲しい行為です。

もちろんゴヤの描いた「眠り」は、女性を美しく描いていますし、そのようなシチュエーションをこしらえて制作されたもののはずなので、同列に考えることはできません。

同じ寝顔でも、子供の寝顔は可愛くて写真を撮りたくなりますよね。我が家の場合、猫の寝顔もそうなんです。残念ながらスマホの操作にモタツイテしまい、猫に感づかれてチャンスを逃すことが多いのですが…

話は変わりますが、ゴヤは病気により突然失聴しています。生きた時期が重なるベートーヴェンも難聴そして失聴しています。

分野は違えど同じ時代の有名人が二人も失聴しているのは、何か共通点があるのではないかと考えてしまいます。

ゴヤは聴力を失ってからも、有名な作品を制作しました。ベートーヴェンも難聴の時期を含めた苦悩の最中(さなか)に名曲を遺しています。

私たちはある意味、このような強靭な精神力をもった芸術家たちの恩恵により、文化的な豊かさを享受できているのかもしれませんね。

最後に、いつものわたなび流の感想で終わりたいと思います。
フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス作「眠り」は、「美術館で鑑賞したい作品」です。

美しい作品ですが、私の生活空間には不釣り合いな気がしますので。

まとめ

フランシスコ・デ・ゴヤ作「眠り」
  1. ゴヤはベラスケスと並び称えられるスペインの偉大な画家。
  2. ゴヤは病気により失聴するが、その後後世に残る名作を制作した。
  3. 「眠り」は想像力を刺激する作品。

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