朝起きると曇り空。
夜には雨の予報。
そんなとき、
爽やかな気分になりたい!
と思うことってありませんか?
そんな思いでレコードに手を伸ばしたら、ベートーヴェン「交響曲第4番」が目に入り聴くことに。
カラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で楽しんでみました。
■カラヤン/ベートーヴェン「交響曲第4&7番」
- 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
- 演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- Deutsche Grammophon
- 発売元:Polydor International GmBH【415 121-1]】
ベートーヴェン作曲「交響曲第4番」とは

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンは、彼自身にとって4番目の交響曲を1806年(文化3年)に完成させました。
実質的な作曲期間は、1806年(文化3年)の夏ごろ~10月くらいまでだったようです。比較的短期間で仕上げたという印象を受けます。
非常に軽快で躍動感のある交響曲です。
交響曲第4番の初演は、1807年(文化4年)3月に開催されたロプコヴィツ侯爵邸でのこと。ごく限られた人の集まる私的な演奏会でした。
一般的に公開された初演は、オーストリア・ウィーンにあるブルク劇場で1807年(文化4年)11月15日に開催された慈善演奏会です。私的演奏会での初演も公開初演も、指揮は作曲者のベートーヴェン自身が行ないました。
意外なことにベートーヴェンの交響曲第4番は、19世紀の人々にはそれほど歓迎されていなかったようです。率直に表現すると、「期待通りではない…」「人気がない…」ということになるのでしょう。
ベートーヴェンの交響曲を全て聴いたことのある方なら、第4番からは重厚感や情熱がほとばしるような印象をあまり感じないかもしれません。その点では、いわゆる「ベートーヴェンらしさ」が少ないのは否めません。
しかしそれを理由に交響曲第4番の評価を貶(おとし)めることにはならないはず。
「ベートーヴェンにもこのような一面があったのか」と受け止めるのが、作曲者にとってはうれしいことなのかもしれません。
音楽の好き・嫌いを論じると、そこには正解はないのでしょうが、聴衆が作曲者に期待するイメージと著しい乖離(かいり)があった場合には両者にとって悲しい結果になってしまうのかもしれません。
さまざまな録音媒体を通じて、さまざまな音楽家の演奏を聴ける現代。ベートーヴェンの交響曲第4番に対するイメージは、19世紀とは違ったものになっていることを期待します。
ベートーヴェンは交響曲第4番をオッペルスドルフ伯爵に献呈しています。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンとは

ベートーヴェンについては『すぐわかる!ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンとは|その生涯と作品たち』をご参照ください。

わたなびはじめの感想:ベートーヴェン「交響曲第4番」について

ベートーヴェンの交響曲4番は、第7番(ベトシチ)とカップリングされることが多いように感じます。この組み合わせは私にとってはうれしいことで、心を晴れやかで明るい方向に向けてくれるからです。
私の場合、当初このカップリングのレコードやCDを購入した目的は、正直なところベートーヴェンの交響曲第4番ではなく、交響曲第7番を聴くことが目的でした。
とはいえ、いざ聴いてみたら好みの曲だったので、今では大好きな1曲になっています。
今回はその片方の交響曲第4番をレコードで楽しみました。
ここからはベートーヴェン「交響曲第4番」の各楽章ごとの感想をお伝えします。
■第1楽章
出だしは静かで少し暗い感じです。少しずつですが変化していき、2分程半過ぎると雰囲気が一変して軽快で軽やかに。
ところどころ弦楽器と打楽器が刻むリズムも印象的です。明るく勇壮さを伴った雰囲気で、心が凛とする感じがします。
繰り返しながら迫力を増していく主題が特徴的です。ラストもサッパリしていて、統一感があります。
■第2楽章
流れるような静かな雰囲気でスタートします。
軽快さはありますが、全体的に穏やかです。
クラリネットの響きには、少し寂しさも感じます。ティンパニも隠れたアクセントのような効果を演出しています。
適度に盛り上がりを見せるので、聴いていて心地よいです。
非常に美しい第2楽章だと思います。
■第3楽章
最初から駆け出しそうな勢いを持っています。
表情を変えながら繰り返される旋律が印象的です。人の心の移り変わる様子を思い浮かべたり、誰かと会話でもしているかのようでもあります。
重々しい感じはなく、颯爽と身を翻(ひるがえ)しながら人混みを進んでいく様子もイメージできます。
■第4楽章
勢いを伴った小刻みなリズムで始まります。そのリズムに時折、厚みのある音量が重なる場面も。
他の楽章には無かった深刻さを感じる部分もありますが、軽快な響きが続くため、後に引きずることはありません。
交響曲第4番を締めくくる楽章なので、盛り上がりを随所に感じ勢いがあります。
ラストでは少しだけしめやかな表情を見せますが、潔く終わります。
カラヤンとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏時間は、約22分程なので聴きやすい長さだと思います。
確かにベートーヴェンのイメージと重なる重厚感には乏し交響曲ですが、決して退屈ではありません。どちらかといえば、「ベートーヴェンにもこのような軽快で爽やかな交響曲があったんだぞ!」と主張したいくらいです。
今回聴いているレコードの場合、A面に交響曲第4番が、B面に交響曲第7番が収録されています。CDで聴いていると、そのまま第7番に突入していくので明るい交響曲を立て続けに楽しめるのですが、そうならないところもレコードの魅力です。
レコードをひっくり返すひと手間を、煩(わずら)わしく感じなくなっているのは年齢のせいでしょうか?
面倒かもしれないその動作が愛おしくもあります。
まとめ
- ベートーヴェンの重厚なイメージではない交響曲。
- 颯爽としていて気持ちのいい作品。
- 当初はあまり人気が無かったことが信じられない。
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