カラヤン&ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、R.シュトラウス作曲の交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」を聴こうと思い、カラヤン・ゴールドシリーズの「ツァラトゥストラ」を手にしたら…
あれっ、ないぞ!
すべては私の勘違いでした。
カラヤン・ゴールドシリーズにおける交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」は、今回ご紹介するCDではなく、交響詩「ドン・キホーテ」のCDに収録されていただけだったのです。
どうして勘違いしたのかなぁ?
カラヤン・ゴールドシリーズを中古CDショップで地道に探していた時期、交響詩「ドン・キホーテ」のCDがなかなか手に入らなかったからなのか…。(これについては後半に。)
それで今回ご紹介する「ドイツ・グラモフォン BEST 100」のCDを購入したのかもしれません。
記憶がおぼろげで、自分でもわかりません。
■R.シュトラウス:ツァラトゥストラ/ドン・ファン/ティル
- 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
- 演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- ドイツ・グラモフォン BEST 100
- 発売:ユニバーサル ミュージック株式会社【UCCG-70017】
R.シュトラウス作曲 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」とは

交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」は、R.シュトラウスが1895年(明治28年)に作曲した作品です。
初演されたのは1895年(明治28年)11月5日のケルンで、フランツ・ヴュルナーが指揮を務めました。
この作品はの14世紀の北ドイツに実在したとされる、ティル・オイレンシュピーゲルの物語が基になっています。当初は口伝により語り継がれていたティル伝説は、15世紀末期に「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」という民衆本にまとめられました。
その主人公ティルは、中世ドイツ・ブラウンシュバイクの近郊クナイトリンゲン村で誕生しました。ドイツの人々にとってティルは、「楽しい輩」といった受け止められ方をされているようです。
ティルはさまざまな職業に携わりながら、ドイツをまわり歩いたようです。
ときには荒馬を乗り回して市場を混乱させ、騎士や僧侶に変装して大暴れ、恋と失恋、絞首刑の宣告等々、ならず者ではありながら憎めないキャラクターだったようです。
ティルの最後は、ペストにより病死したとも、絞首刑にされたとも言われているようです。
R.シュトラウスは当初、このような波乱に富んだティルの物語をオペラ化しようと考え、台本まで書いていました。
ところが、R.シュトラウス最初のオペラである歌劇「グントラム」の評価が低かったことなどを理由に、交響詩に変更しました。
そして完成したのが、交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」です。
1956年(昭和31年)にはジェラール・フィリップにより映画化されたようだけれど、観たことがない。
リヒャルト・シュトラウスとは

リヒャルト・シュトラウスについては、『すぐわかる!リヒャルト・シュトラウスとは』をご参照ください。

わたなびはじめの感想:R.シュトラウス 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」について

ここでは交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」の感想を紹介しますが、その前にCDの収録の件をお伝えさせてください。
私は以前、カラヤン・ゴールドシリーズを揃える前に購入していたCDを処分したことがありました。カラヤン・ゴールドシリーズと重複した、ヨーロッパからの輸入盤や廉価盤などです。
しかし今回ご紹介しているCDについては、ジャケットが重複しているにもかかわらず処分せずにいたのです。
理由はカラヤン・ゴールドシリーズの同じジャケットのCDには、交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」収録されていなかったからだと思います。(あいまいな記憶ですが…)

結局、カラヤン・ゴールドシリーズにおける交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」は、交響詩「ドン・キホーテ」とともに収録されていたわけです。
交響詩「ドン・キホーテ」のCDは入手したことで満足してしまい、聴いていなかったのです。
そのため、交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」の存在を知らず、今回のCDを処分することなく手元に残す判断をしたのだと思います。
何はともあれ、カラヤン・ゴールドシリーズに収録されていたので安心しました。
ここからは交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」の感想です。
【 】は、今回聴いたCDの演奏時間です。
■交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」【15分19秒】
穏やかでありながら、どこかコミカルな出だし。おそらくは「昔々~」みたいな物語の始まりを表現しているのでしょう。
ホルンがティル・オイレンシュピーゲルを表現しています。
まだ序盤だというのに、お騒がせ者のティルが早速何かやらかしたかのようです。市場の大混乱の場面でしょうか。
そうかと思えば威風堂々とした雰囲気に変化します。ティルが偉い人にでも変装したのでしょう。
中盤に差しかかった頃、音の厚みが増し緊張感が高まります。でも、どこかひょうきん者のような感じが漂っているので、深刻には受け止められません。
息つく暇もなく、コロコロと場面が入れ替わるかのようです。
曲の終盤、小太鼓が鳴り響き、ティルに暗雲が立ち込めた様子が表現されます。
金管楽器が不穏に鳴り響きます。ティルの刑を宣告するかのようです。
最後は穏やかに冒頭のメロディが繰り返され、劇的な響きで終わります。
奇人とも思えるティルの多面性に合わせて、さまざまな表情が音楽で表現されています。
交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」は、まさに音楽で聴く物語です。
約16分間という時間の中に、ティル・オイレンシュピーゲルの人生が凝縮されているかのようで、本当に大好きな作品です。
この作品は「交響詩」となってはいますが、R.シュトラウスがオペラ化を考えていたこと思うと「序曲」のようにも受け止められる気がします。
カラヤンはR.シュトラウスの作品が得意だったようですね。
カラヤン・ゴールドシリーズにはR.シュトラウス関連CDが4枚あります。すべてベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏です。
カラヤン・ゴールドシリーズは、1980年代に録音したものからセレクトされているわけですから、晩年のカラヤンはR.シュトラウス作品を指揮したかったのでしょう。
交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」は、聴くだけで心が揉み解されていくような感じがします。やすらぎとは違いますが、波乱万丈の展開から元気をもらえる気がするのです。ちょっぴりショック療法的?な感じですかね。
まとめ
- ティル・オイレンシュピーゲルの伝説を音楽化した作品。
- R.シュトラウスはティルの物語をオペラにしようとしていた。
- カラヤン・ゴールドシリーズにはR.シュトラウスのCDが4枚含まれている。
■関連CDのご案内です。
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