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ブラス!学生時代、吹奏楽をやっていた妻と結婚前にデートで観た映画(あらすじ有)

ブラス!
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ブラスバンド(吹奏楽)とオーケストラ(管弦楽団)を比べると、私は断然オーケストラ好きです。

演奏する曲にも違いがあるので、このような比較自体がナンセンスなことは承知しています。

しかし…ヴァイオリン好きの私にとっては、弦楽器が編成されている管弦楽団の方に関心が向いてしまうのです。

一方、私の妻は学生時代(6年間)吹奏楽をやっていたので、ブラスバンドが大好きです。

そんな私たちが結婚する前に映画を観に行きました。そのときに小さな映画館で観た作品が「ブラス!」だったのです。

ストーリーはハッピーな内容ではありませんでしたが、非常にすばらしい作品でした。終盤のブラスバンドの演奏は圧巻で、オーケストラ好きの私でも魅了されたのを覚えています。

それから数年経って、「ブラス!」の中古CDを見つけて購入。さらに数年後の昨日、部屋の片づけをしていたらひょっこりと姿を現してくれました。

映画を思い出しながら、久しぶりにサウンドトラックCDの「ブラス!」を楽しんだのでお伝えします。

■シネマカノン配給 ブラス! オリジナル・サウンドトラック

  • 音楽:トレヴァー・ジョーンズ
  • RCA
  • 株式会社 BMGジャパン【BVCF-1570(09026-68757-2)】

ブラスバンドと吹奏楽の違いについて

ブラスバンドのイメージブラスバンドのイメージ

この記事の冒頭で、私は「ブラスバンド」と「吹奏楽」を同じ意味で使用しています。

ところがサウンドトラックCD「ブラス!」のライナーノーツには、次のような文章が記載されていました。

ブラスバンド。日本では吹奏楽ということばと同義であるかのような使われ方をされていますが、実はこれは間違い。ブラスという英語は金属、真鍮をさすものですから、ブラスバンド、といえば金管楽器のバンドという意味なのです。従って、木管楽器から入る吹奏楽のことでは決してないのです(ちなみに、吹奏楽の楽団のことは、単にバンド、といいます)。

出典:『ブラス!ライナーノーツ』磯田健一郎

フーッ、これでブラスバンドと吹奏楽の違いがハッキリしましたね。

これ以上、ここでは掘り下げませんが、「ウィンド・オーケストラ」とかもありますよね。どう違うんだろう?

映画「ブラス!」とは

ブラス!

ブラス!はイギリスを舞台とした作品です。

まずはじめに理解しておくべきは、イギリスにおける人々と音楽の関係性です。

イギリスでは毎年夏に約2ヶ月間開催される「BBCプロムス」という音楽の祭典があります。その最終日のコンサートは「プロムス・ラスト・ナイト・コンサート」として、日本でも放送されています。毎年、私たち夫婦も楽しみにしています。

プロムス・ラスト・ナイト・コンサート」はロイヤル・アルバート・ホールや複数の屋外会場で執り行われます。大勢の人々が集まってクラシック音楽を楽しむ姿は、日本では想像できません。

それだけではなく、イギリスではバンド活動も盛んです。日本の吹奏楽コンクールよりも歴史があり、熱量も段違いの大規模なコンテストも開催されています。

これが「ブラス!」のストーリーと密接に関係しているのです。

ブラス!のあらすじ

ブラス!

舞台は1990年代のヨークシャーにあるグリムリーという架空の街です。グリムリーは石炭の街でした。しかし、炭鉱閉鎖問題で労働者たちの生活は不安に包まれます。

炭鉱労働者たちの中には、仕事の傍らブラスバンド「グリムリー・コリアリー・ブラスバンド」で活動している人たちがいました。バンドのディレクターを務めるダニー(ピート・ポスルスウェイト)は、全英ブラスバンド選手権の決勝を目指すべくバンドメンバーを次のように励ましていました。「ロンドンへ行こう!ローヤル・アルバート・ホールで演奏しよう!」と。

鉱山で働くメンバーはダニーの気持ちは理解できるものの、生活のことで頭がいっぱいになっていました。ブラスバンドの練習どころではなかったのです。

そんなときに若くて美しい女性グロリア(タラ・フィッツジェラルド)がやって来て、入団を希望します。当初ダニーは「よそ者は入団させない」とグロリアの入団を拒否しますが、彼女がグリムリー出身であることがわかり受け入れます。実はグロリアの祖父は、かつて炭坑夫でありバンドマンでもあったダニーの親友だったのです。

あらたなメンバーを歓迎するバンドメンバーたち。しかしグロリアは、炭鉱経営者側の人間で、炭鉱労働者にとっては歓迎できない存在だったのです。

グリムリー・コリアリー・ブラスバンドはコンテストで順調にコマを進めるのですが、炭鉱閉鎖が決まってしまいます。鉱山の仕事により肺を傷めていたダニーは、その知らせを聞いて崩れ落ちます。

そして、バンドメンバーもグロリアに不信を抱くようになってしまいます。すでにグロリアを好きになっていたアンディ(ユアン・マクレガー)も動揺を隠せませんでした。

仕事と生活で苦しみ、揺れ動くバンドメンバーたち。グリムリー・コリアリー・ブラスバンドの活動どころではなくなっていったのです。メンバーはバンドを辞める決意をし、最後にダニーの入院する病院の前で「ダニー・ボーイ」を演奏します。

バンドメンバーは、自分たちの気持ちを伝える役目を、ダニーの息子フィル(スティーブン・トンプキンソン)に依頼します。

フィルは炭鉱以外にもピエロで生計を賄っていました。しかし…フィルは借金が返済できず、妻子が家を出て行ってしまったのでした。

父親のダニーにはメンバーの意思を伝えられず、家族もバラバラになったフィルは、絶望して最悪の選択をします。幸いその選択は未遂に終わり、フィルの命は助かったのでした。

他方、経営者のやり方に納得できず怒ったグロリアは、職を辞して退職金を受け取り、グリムリー・コリアリー・ブラスバンドが決勝に出場するための資金にします。

ロイヤル・アルバート・ホールの決勝の舞台に立ったグリムリー・コリアリー・ブラスバンドのメンバーたち。チカラのこもった「ウィリアム・テル序曲」の演奏で優勝します。残念ながら、ダニーは入院中のため決勝に出場できませんでした。

ところが、入院しているはずのダニーが表彰式に姿を現したのです。病院を抜け出し、駆け付けたのでした。誰よりもこの瞬間を待ち望んでいたのですから。

彼らはトロフィーの受取を拒否します。(実はお茶目なシーンがありますが…)

グリムリー・コリアリー・ブラスバンドは「威風堂々」を演奏し、帰路につくのでした。

炭鉱閉鎖だけでなく、心が揺れ動くメンバーたちの葛藤を描いた切ないストーリーではありましたが、人の想いの描写が絶妙に描かれた作品。
ブラスバンドの演奏も心に響きました。
ロイヤル・アルバート・ホールの決勝では、ダニーの代わりに指揮を務めたメンバーのパワフルなアクションに釘付けに。
政治的なメッセージも盛り込まれていましたが、単なる音楽を魅せるだけの作品ではありませんでした。

サウンドトラックCD「ブラス!」の名曲たち

ブラス!

サウンドトラックCD「ブラス!」には、序曲好きの私にとっては大好きな「ウィリアム・テル序曲」が収録されています。今日聴いても、決勝シーンが蘇ってきました。もちろん、断片的にですが…

上述したクラシック音楽の祭典「BBCプロムス」のラスト・ナイト・コンサートには必ず演奏される曲があります。観衆は大合唱です。
その曲のひとつが「威風堂々」です。いつの日か、私もロイヤル・アルバート・ホールに行って大合唱したい!

ダニー・ボーイ」も美しい名曲です。アイルランド民謡で「ロンドンデリーの歌」とも言われるこの曲。心に染み入ります。

このサウンドトラックCDの演奏のは、トレジャー・ジョーンズのオリジナル曲を除いてグライムソープ・コリアリー・バンドが担当しています。1917年(大正6年)に結成されたブラスバンドで、南ヨークシャーの炭鉱の町グライムソープで活動しています。炭鉱閉山後もスポンサーを変えながら活動を継続していて、なんと、ロイヤル・アルバート・ホールでの優勝経験も!

このバンドが、映画「ブラス!」のモデルになっています。

まとめ

ブラス!
  1. 映画「ブラス!」は派手さは無いが、心に染みる感動作品。
  2. ウィリアム・テル序曲、威風堂々など、聴きごたえがあるサウンドトラックCD。
  3. 正直に、もう一度劇場で観たい!

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