クラシック音楽

ナルシソ・イエペスの優しいギターの魅力!フェルナンド・ソル作曲「≪魔笛≫の主題による変奏曲」

ナルシソ・イエペス「禁じられた遊び~アランフェス協奏曲」

ナルシソ・イエペスというギターリストをご存知ですか?

イエペスの名前は知らなくても、映画「禁じられた遊び」でギターを弾いた人と言われるとピンとくる方もいらっしゃることでしょう。

ナルシソ・イエペスはクラシックギター奏者で、日本での公演が17回もある方なんですよ。

イエペスの特徴は「10弦ギター」を使用していたことです。その理由は、後ほどご紹介しますね。

クラシックギターは他の楽器に負けないくらい魅力で溢れています。

今回はナルシソ・イエペスの演奏でフェルナンド・ソル作曲「≪魔笛≫の主題による変奏曲」を聴いた感想をご紹介します。

■ナルシソ・イエペス「禁じられた遊び~アランフェス協奏曲 ギター小品集・協奏曲名曲集」

  • ギター:ナルシソ・イエペス
  • ギター:ゴドリーヴ・モンダン(※2)
  • 演奏:フィルハーモニア管弦楽団(※1)、イギリス室内管弦楽団(※2)
  • 指揮:ガルシア・ナバロ(※1)(※2)

 ※1:アランフェス協奏曲、ある貴婦人のための幻想曲
 ※2:マドリガル協奏曲

フェルナンド・ソル作曲「≪魔笛≫の主題による変奏曲」とは

ナルシソ・イエペス

フェルナンド・ソルは、スペイン・バルセロナ出身の作曲家です。ソル自身がギター奏者でもあり、ギターの教則本も書いています。

ソルの誕生日はハッキリしませんが、1778年(安永7年)2月13日と考えられています。

ギターがヴァイオリンやピアノといった楽器の比べて低くみられていたなか、ソルの功績はギターの音楽的なレベルを高めたことです。

1815年(文化12年)、ソルはロンドンでモーツァルト歌劇の名作である「魔笛」を観たことに触発されて「≪魔笛≫の主題による変奏曲」を作曲したと言われています。

「≪魔笛≫の主題による変奏曲」の主題部には、歌劇「魔笛」の第1幕の終わり頃に歌われる「おお、すてきな音だろう」の旋律がモチーフとして使われています。

フェルナンド・ソルは1839年(天保10年)7月10日にフランス・パリで亡くなりました。

ナルシソ・イエペスとは

ナルシソ・イエペス

ナルシソ・イエペスは1927年(昭和2年)11月14日にスペインで生まれました。

幼かった頃、ステッキをギターに見立てて弾く真似をしていたそうです。それを見た父親が、ギターを買ってくれました。

数日で当時の流行歌を弾いたというのですから驚きです。(もちろん、どのレベルで弾けたのかはわかりませんよ。)

わたなびはじめ
わたなびはじめ
ギターの場合は弦を順番に押さえても「ドレミ・・・」と弾けるわけではないから、にわかには信じられない。
本当にスゴイことだと思う!

1939年(昭和14年)には家族と共にバレンシアに引っ越します。イエペスはバレンシア音楽院に入ります。

1947年(昭和22年)12月17日、イエペスにチャンスが訪れます。スペイン国立管弦楽団の指揮者アタウルフォ・アルヘンタの前で演奏する機会を得たのです。

アタウルフォ・アルヘンタに才能を認められたイエペスは、アルヘンタの勧めでマドリードに行きます。そこで「アランフエス協奏曲」の作曲者であるホアキン・ロドリーゴと、1940年(昭和15年)に同曲を初演したレヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサに会います。

これがキッカケで、イエペスはレヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサに師事することになります。

その後、精力的にコンサートを行なっていたイエペスは、パリで映画監督ルネ・クレマンと知り合います。1952年(昭和27年)のこの出会いは、意図したものではありませんでした。

イエペスは新人ながら、ルネ・クレマンの監督作品「禁じられた遊び」の音楽を担当することになります。

わたなびはじめ
わたなびはじめ
映画製作費の問題も関係していたみたいだね。
当初、アンドレス・セゴビアに依頼をしたんだけれど、金額面での折り合いがつかなかったんだ。
なんでも、映画の製作費をほとんど使ってしまっていたとか…

イエペスは、映画「禁じられた遊び」の音楽の編曲及び構成を担当し、演奏をギター1本で行ないます。この作品はヴェネツィア映画祭のグランプリを受賞し、メインテーマ曲は世界的な大ヒットとなります。

現在メインテーマ曲は「禁じられた遊び」というタイトルで知られていますが、もともとは作曲者不詳の「ロマンス」または「愛のロマンス」という曲です。

1964年(昭和39年)からは、ホセ・ラミレス3世と開発した10弦ギターを用いたコンサートを始めます。(10弦ギターについては後述しますね。)

その後も世界各国でコンサートを開催する傍ら、バッハをはじめとする多くの作品をギター用に編曲します。

1989年(昭和64年・平成元年)には、王立サン・フェルナンド芸術アカデミーの会員に選出されます。同年、ロルカ・ゴールド・メダルを受賞します。

ナルシソ・イエペスは、1997年(平成9年)5月3日に悪性リンパ腫により亡くなりました。

わたなびはじめ
わたなびはじめ
イエペスのお弟子さんには、日本人ギターリストの荘村清志さんらがいるんだよ。
以前、荘村清志さんのギターテクニックを身につけるためのフレーズ集を買ったことがあったなぁ。
懐かしい~

ナルシソ・イエペスが10弦ギターを使用した理由とは

ナルシソ・イエペス

通常のクラシックギターは6弦で構成されていますが、イエペスは満足できなかったようです。「音の均質性」の問題でした。

ここからは、『ナルシソ・イエペス「禁じられた遊び~アランフェス協奏曲 ギター小品集・協奏曲名曲集」』のライナーノーツの解説をご紹介します。

6弦ギターがを通常の調弦法によって弾いた場合、「ミ」や「ラ」の音は共鳴する弦が多いため良く鳴るが、「ファ」の音は、それに比べると鳴りが悪い。そうした”宿命的な不満”を何とか正し、音階上の各音が平等に鳴るようにするには、鳴りの悪い音に対して共鳴する、従来とはべつな弦を張り足してやればよいのだ、とイエペスは気づいた。そこで、4本の”番外弦”あるいは”付加弦”を具えた「10弦ギター」を、マドリードの名工ラミレスと相談を重ねた上で、1963年にイエペスは開発したのであった。

出典:『ナルシソ・イエペス「禁じられた遊び~アランフェス協奏曲 ギター小品集・協奏曲名曲集」のライナーノーツ』
濱田滋郎著 3ページ

私は以前、クラシックギターをかじったことがありました。

クラシックギターはエレキギターに比べてネックが太いため、演奏しにくい感じがしました。さらには弦の押さえる際に、左手の親指は使用しないといった違いもあります。(親指の定位置はネックの裏側です。)

イエペスのアルバムのジャケットには10弦ギターを演奏している姿が収められていますが、弾きこなすのはさぞかし大変だったことだろうと思わずにはいられません。どうみても、ネックが太いですよね。

そんな10弦ギターを開発し演奏したイエペスは、まさにギターの探究者だったと言えると思います。

わたなびはじめの感想:イエペス「≪魔笛≫の主題による変奏曲」について

ナルシソ・イエペス「魔笛の主題による変奏曲」

私が『ナルシソ・イエペス「禁じられた遊び~アランフェス協奏曲 ギター小品集・協奏曲名曲集」』のCDを購入したのは、クラシックギターの魅力を教えてくださった方が、「≪魔笛≫の主題による変奏曲」を弾いてくださったことがキッカケでした。

≪魔笛≫の主題による変奏曲」が収録されているCDをインターネットで探していたときに、このCDを見つけて購入したのです。

ナルシソ・イエペスについて多少なりとも詳しくなったのはCD購入以降のことです。それまでは、「禁じられた遊び」のギターを弾いていたことすら認識していなかったと思います。

『ナルシソ・イエペス「禁じられた遊び~アランフェス協奏曲 ギター小品集・協奏曲名曲集」』を聴くようになってからは、イエペスのやさしい音色に魅了されてしまいました。

≪魔笛≫の主題による変奏曲」は、変奏曲ということで様々な表情を持った楽曲です。

全体としては明るくテンポの良い曲だと感じていますが、中盤には深みと重みのある場面もあります。その後、感情に訴えかけるような旋律へと移り、終盤には小刻みで楽し気な表情を取り戻します。最後はハッピーエンド的に終わります。

ギターだからということもあるのでしょう。聴いていて、和やかな気持ちになれる曲です。

ちょっと一息つきたいときにピッタリの曲ですよ。

まとめ

イエペス「魔笛の主題による変奏曲」(ソル)
  1. ≪魔笛≫の主題による変奏曲は、フェルナンド・ソルがモーツァルトの歌劇「魔笛」に触発されて作曲した。
  2. ナルシソ・イエペスのやさしく深みのある演奏には心が和む。
  3. 6弦では満足できず、10弦ギターを開発したイエペスの音へのこだわりはスゴイ。

■関連CDのご案内です。
    

「アルハンブラの思い出」「魔笛の主題による変奏曲」「禁じられた遊び」等が収録された2枚組のCDです。ナルシソ・イエペスのギターを堪能できますよ!

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