このクリスマス・シーズンは、カラヤンの「THE CHRISTMAS ALBUM」を購入しました。
今回は、そのCDに収録されている、コレッリが作曲した合奏協奏曲「クリスマスの夜のために」ト短調 作品6の8から「パストラーレ」をご紹介します。
■カラヤン/クリスマス・カラヤン
- ヴァイオリン:トーマス・ブランディス
- ヴァイオリン:エミール・マース
- チェロ:オトマール・ボルヴィツキー
- チェンバロ:ヴォルフガング・マイヤー
- チェンバロ:ヴァルデマール・デーリング
- 演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
- DEUTSCHE GRAMMOPHON【00289 479 3926】輸入盤
- 発売元:ユニバーサルミュージック合同会社
※ヴァイオリン、チェロ、チェンバロ奏者は、パストラーレ」・合奏協奏曲「クリスマスの夜のために」について。
コレッリ作曲「パストラーレ」/ 合奏協奏曲「クリスマスの夜のために」ト短調とは

合奏協奏曲「クリスマスの夜のために」は、イタリアの作曲家でありヴァイオリニストでもあったアルカンジェロ・コレッリが作曲しました。この作品が作曲されたのは1712年(正徳2年)頃だと思われますが、出版されたのはコレッリが亡くなった1年後の1714年(正徳4年)です。
「クリスマス協奏曲」として広く知られていいるこの作品は、コレッリの「合奏協奏曲集 作品6」の8番目(全12曲)にあたり、6つの楽章で構成されています。
「クリスマス協奏曲」と呼ばれているのは、コレッリがクリスマスの夜に開催されるミサのために作曲したから。その楽譜にはイタリア語で「クリスマスの夜のために」と記載されています。
クリスマス協奏曲の「パストラーレ」は、どこか牧歌的な雰囲気を持つ作品です。
馬小屋で誕生したイエス・キリストのもとを訪れて礼拝したのは東方の博士だけではなく、天使によりイエス・キリストの誕生を告げられた羊飼いたちをもそうでした。パストラーレは、この羊飼いたちの話からイメージを膨らませた作品なのではないでしょうか。
羊飼いたちが救い主イエス・キリストの誕生を告げられた場面を、新約聖書からご紹介します。
さて、この地方で羊飼たちが夜、野宿しながら羊の群れの番をしていた。すると主の御使が現れ、主の栄光が彼らをめぐり照したので、彼らは非常に恐れた。御使は言った、「恐れるな。見よ、すべての民に与えられる大きな喜びを、あなたがたに伝える。きょうダビデの町に、あなたがたのために救主がお生れになった。このかたこそ主なるキリストである。あなたがたは、幼な子が布にくるまって飼葉おけの中に寝かしてあるのを見るであろう。それが、あなたがたに与えられるしるしである」。するとたちまち、おびただしい天の軍勢が現れ、御使と一緒になって神をさんびして言った、
「いと高きところでは、神に栄光があるように、
地の上では、み心にかなう人々に平和があるように」。
御使たちが彼らを離れて天に帰ったとき、羊飼たちは「さあ、ベツレヘムへ行って、主がお知らせ下さったその出来事を見てこようではないか」と、互に語り合った。そして急いで行って、マリヤとヨセフ、また飼葉おけに寝かしてある幼な子を捜しあてた。出典:『新約聖書 ルカによる福音書 第2章8~16節』
85~86ページ 日本聖書協会
この聖書の光景を思い浮かべながらこの曲を聴くと、心に染み渡るのではないでしょうか。
ただし、慌ただしさや劇的な場面はほとんど登場しません。羊飼いが急いでイエス・キリストのいるベツレヘムの街の中に入っていく感じもしません。天使の現われなども、厳かな雰囲気に包み込まれているかのような美しい旋律で奏でられる作品です。
上述した聖書の場面をもとに作曲されたとするならば、一連の出来事を穏やかに回想しているような作品に仕上がっている気がします。
たとえ話にも羊を用いているしね。
「クリスマス協奏曲」は、ヨーロッパではとても人気の高い作品です。
アルカンジェロ・コレッリとは

17~18世紀の偉大なヴァイオリニスト&バロック音楽の作曲家でもあったアルカンジェロ・コレッリの生涯については、『すぐわかる!アルカンジェロ・コレッリとは』をご参照ください。

わたなびはじめの感想:コレッリ作曲「パストラーレ」・合奏協奏曲「クリスマスの夜のために」ト短調について

ここからは『カラヤン/ クリスマス・カラヤン』に収録されている、コレッリ作曲「パストラーレ」合奏協奏曲「クリスマスの夜のために」ト短調 作品6の8からの感想をお伝えします。
※【 】は、今回聴いたCDでの演奏時間です。
■「パストラーレ」/ 合奏協奏曲「クリスマスの夜のために」ト短調 作品6の8から【5分09秒】
のどかな風景が思い浮かぶような穏やかな旋律で始まります。弦楽器の伸びやかな音色が美しさを演出。
徐々に盛り上がりますが、中盤に流れるどことなく哀愁を帯びたヴァイオリンの音色が印象的です。
表情を変えながら主題が繰り返され、最後は静かに、そして緩やかに音が消えていきます。
全体を通じて、安らぎと厳かな雰囲気に包まれている作品です。
個人的な感想ですが、聴き終わると心が穏やかになる効果があるようです。もしかすると、寝る直前にゆったり聴くのもありかもしれません。
クリスマスなので、イエス・キリストについてご紹介します。
イエス・キリストはご自身のことを、「よい羊飼(ひつじかい)」であると言われました。よい羊飼は、自分の羊のためには命をも惜しまないのです。
イエス・キリストは次のように言われました。
わたしはよい羊飼である。よい羊飼は、羊のために命を捨てる。
出典:『新約聖書 ヨハネによる福音書 第10章11節』
156ページ 日本聖書協会
実際、イエス・キリストは私たちのためにご自身の命を捧げられました。イエス・キリストにより神様のみ前における罪の赦しが現実のものとなり、復活も可能となりました。これにより、私たちが神様のもとに帰る道が開かれたのです。
イエス・キリストの誕生を祝うこの時期、クリスマスの本来の意義深さについて考えてみるのもいいのではないでしょうか。

まとめ
- コレッリがクリスマスの夜に開催されるミサのために作曲した作品。
- イエス・キリストの誕生を、羊飼いが天使に告げられる場面を連想させる。
- 厳かで、心が穏やかになる作品。
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