2002年(平成14年)に国立西洋美術館で開催された「スペイン王室コレクションの美と栄光 プラド美術館展」には、聖書を主題にした作品が多く展示されていました。
その中のひとつがバルトロメ・エステバン・ムリーリョの描いた「レベカとエリエゼル」です。
旧約聖書に基づいて観なおしてみます。
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ作「レベカとエリエゼル」とは

- 制作年:1650年~1655年
- サイズ:108.0 × 151.5cm
- 油彩、カンヴァス
バルトロメ・エステバン・ムリーリョは旧約聖書 創世記 第24章に基づいて「レベカとエリエゼル」を描いています。
ちなみに、アブラハムの忠実な僕「エリエゼル」はダマスコ出身の人物だったみたい。
創世記 第15章2~3節にそう書かれているからね。
バルトロメ・エステバン・ムリーリョが描いた「レベカとエリエゼル」は、アブラハムが息子イサクの妻を忠実な僕エリエゼルに探させるエピソードを主題に描かれています。
神様と聖約(契約)を交わし祝福され、その子孫からイスラエルの民が誕生するアブラハム。
アブラハムとその妻サラは、長い期間子供を授からずにいました。そして老年に及んでイサクを授かります。アブラハムの聖約による祝福と約束は、イサクへと受け継がれることになりました。
アブラハムは、その時住んでいたカナンの女性がイサクと結婚することを望みませんでした。
そこで自身の全ての財産を管理させるほど信頼していたエリエゼルに、イサクの妻になる女性を見つけてくるようにと依頼します。エリエゼルはアブラハムの親族が住む地へ行き、イサクの妻となるべき女性を見つけてくることになったのです。
エリエゼルは、10頭のらくだとともに贈り物を携えて旅に出ます。
どうやって主人の息子の妻になる女性を見つけ、見極めたらいいのか迷っちゃうなぁ...
そこでエリエゼルは、神様に頼りました。イサクのお嫁さんにする女性を見極めるために、間違わないように神様に頼んだのでした。
彼は言いった、「主人アブラハムの神、主よ、どうか、きょう、わたしにしあわせを授け、主人アブラハムに恵みを施してください。わたしは泉のそばに立っています。町の人々の娘たちが水をくみに出てきたとき、娘に向むかって『お願いです、あなたの水がめを傾けてわたしに飲ませてください』と言い、娘が答えて、『お飲みください。あなたのらくだにも飲ませましょう』と言ったなら、その者こそ、あなたがしもべイサクのために定められた者ということにしてください。わたしはこれによって、あなたがわたしの主人に恵みを施されることを知りましょう」。
出典:『旧約聖書 創世記 第24章12~14節』
28ページ 日本聖書協会
そしてエリエゼルは、その条件通りの女性と出会います。
バルトロメ・エステバン・ムリーリョが描いた「レベカとエリエゼル」は、まさに条件通りの女性(リベカ)から水を飲ませてもらっている場面です。
画面手前の左側で、背を向けて水を飲んでいるのがエリエゼルです。その隣の赤い前掛けを付けているのがリベカです。
井戸の周囲には、その他の女性たちが立っていて興味深そうに覗き込んでいますね。リベカを含めた女性たちは、みな美しく描かれています。
画面左奥には、ラクダや他の僕たちも描き込まれています。背景については、それほど凝った描き込みがなされているような感じはしません。
リベカの視線はエリエゼルではなく、興味深く見守る女性たちに向いています。ムリーリョは、リベカの右隣り(少し後方)の女性の輪郭を淡く描かくことで距離感を表現しようとしていますね。
エリエゼルの水を飲む動きと、女性たちが井戸を囲む静的な姿が、この作品に多少の躍動感を生んでいる感じがします。人々に囲まれてはいますが、画面中央に立つ女性(リベカ)があくまでも主役として描かれているのは明らかです。
アブラハムの子イサクと結婚したリベカの間には、エサウとヤコブ(後にイスラエルと改名)が誕生します。弟のヤコブ(イスラエル)から、イスラエルの十二支族が生まれるのです。
バルトロメ・エステバン・ムリーリョとは

17世紀のスペイン・バロック期に活躍した画家バルトロメ・エステバン・ムリーリョについては『すぐわかる!バルトロメ・エステバン・ムリーリョとは』をご参照ください。

わたなびはじめの感想:ムリーリョ「レベカとエリエゼル」について

ムリーリョの描いた「レベカとエリエゼル」は、聖書を題材としている作品です。
どちらかと言えば、作品からは劇的な雰囲気は感じにくいのではないでしょうか。しかし描かれている内容は、エリエゼルが大きな責任を果たす感動的な場面です。
自分がエリエゼルの立場だったなら、どのようなことを感じ、行動するだろうか?と自分に問いかけてしまいます。人の人生に大きな影響を与えるであろうことに取り組むには、相当な覚悟が必要です。
そのようなときには神様に頼りつつ、最善を尽くすことが求められるのでしょう。
最後に、いつものわたなび流の感想で終わります。
バルトロメ・エステバン・ムリーリョの描いた「レベカとエリエゼル」は、「自宅で鑑賞したい(欲しい)作品」です。
重大な決断を伴う出来事に当たる際、模範のひとつにしたいエピソードですね。

まとめ
- 「レベカとエリエゼル」は、ムリーリョが創世記 第24章を基に描いた作品。
- レベカ(リベカ)はアブラハムの子イサクの妻となった女性。
- エリエゼルは主人アブラハムの僕で、イサクの妻となる女性を見つける務めを託された人物。