美術作品

ときどき恋しくなる雪景色!クロード・モネ作「雪のアルジャントゥイユ」|ブリヂストン美術館「モネ展」より

モネ展 雪のアルジャントゥイユ

北国を離れ、東京での生活期間の方が長くなった現在、ときどき雪景色が恋しくなります。

クロード・モネ作「雪のアルジャントゥイユ」はまさに郷愁を誘う1枚です。

1994年(平成6年)にブリヂストン美術館(現:アーティゾン美術館)で開催された「モネ展」の図録をもとに過去の記憶を探ってみました。

  • 制作年:1875年
  • サイズ:55.5 × 65cm
  • 油彩、キャンヴァス

クロード・モネ作「雪のアルジャントゥイユ」

モネ展 雪のアルジャントゥイユ

モネがアルジャントゥイユを描いた全作品を知っているわけではありませんが、「アルジャントゥイユの町」を画題としているのは珍しい感じがします。

モネのアルジャントゥイユといえば、セーヌ河とその岸辺や、草原のイメージが印象に強く残っています。

「雪のアルジャントゥイユ」は、冬の寒さに耐えながら過ごす人の営みを感じる作品です。

画面奥には、道を挟んだ両側に住宅が建っています。

おそらくは馬車の車輪によるものではなく、人の歩みによるものなのでしょう。
踏みつけられた地面にできた轍(わだち)からも生活感が漂っています。

その道が画面左下から右上方に向かって伸び、そして左に湾曲している様子も作品の単調さを払拭しています。

画面左側を占める木々に積もった雪の表現には美しさを感じます。
幹に衝撃を与えたなら、ザザッと雪が落ちてくることでしょう。

私の個人的な印象では「雪のアルジャントゥイユ」に描かれた雪はサラサラではなく、湿気を含んだものだったのではないかと思うのです。
道が踏みつけられて足の跡ができ、土が見え隠れしている雰囲気がそう思わせます。
湿気を含んだ雪だからこそ、道がデコボコになりやすいはずから。

一番手前で道を歩いている人も、ポケットに手を突っ込んでいる様子がわかりますね。

私が幼い頃は、寒くてもポケットに手を入れて歩かないようにと指導された気がします。

転んだときの対処に遅れたり、背筋が曲がりがちになる姿の見栄えの問題でしょうか。
小学生の頃は手袋を履いていましたが、中学生になるとなぜか手袋の使用を恥ずかしく感じるようになりました。

とはいえ、カラー軍手なるものを利用した記憶がかすかに残っています。

ちなみに私は手袋を「履(は)く」と表現しますが、東京育ちの妻は「はめる」と言います。
勝手な推測ですが、起立の姿勢をしたときに手首が腰よりも下に位置するから「履く」と言うようになったのではないかと思っています。

アルジャントゥイユで暮らすようになってから数年後の1874年(明治10年)、モネはピエール・ギエンヌ通りの住まいからサン=ドニ通りの家に引っ越しています。
サン=ドニ通りと言っても、サン=ドニ大聖堂からは少し距離があります。

モネ展の図録の解説によると、「雪のアルジャントゥイユ」はサン=ドニ通りの北の端から南の方向を描いているとのことです。
サン=ドニ通りもセーヌ河に添うように敷かれた道のようで、ほんの少しの距離で川辺に行けたことでしょう。

古い記憶なのでおぼろげなところがありますが、モネ展で「雪のアルジャントゥイユ」を観たときには今ほど感情移入することはなかったはずです。

故郷を離れて暮らしている年月の方が長くなっている現在だからこそ、図録で見返した際に郷愁を感じるのだと思います。

少しだけ青が混じったような白色で覆われた「雪のアルジャントゥイユ」からは、空気の冷たさも伝わってくるようです。
何気ない町並みではありますが、冬を感じさせてくれるステキな作品です。

クロード・モネについて

クロード・モネについての紹介は『すぐわかる!クロード・モネとは|印象派を代表する画家の生涯』をご参照ください。

すぐわかる!クロード・モネとは|印象派を代表する画家の生涯印象派を代表する画家のひとりクロード・モネとはどのような画家だったのでしょうか?モネの生涯と代表作をわかりやすくご紹介します。...

わたなびはじめの感想・クロード・モネ「雪のアルジャントゥイユ」

_函館 冬の五稜郭

私が小学校に上がる前、五稜郭公園の側に住んでいたことがありました。

北海道函館市柳町。
その街にある当時は2階建てだった道営住宅で母と生活していたのです。
近くには函館市立東高等学校(現:函館高等学校)があり、五稜郭公園の外堀までほんの数分で行ける距離でした。

幼い時分は道の名前など知りませんでしたが、地図で確認したところ「ときわ通り」という名の道がありました。
母とよく歩いた道です。

その道を歩いた記憶は私にとって、辛くもあり懐かしくもある思い出となっています。
寒い冬、手編みの帽子をかぶり、母の後ろを必死に歩いたものです。
なぜならもの凄い強風が吹くことがあり、私には息ができなくなるほど強烈だったからです。

クロード・モネが描いた「雪のアルジャントゥイユ」をあらためて図録で観なおしながら、古い記憶が蘇ってきました。
母の背を追いながら黙々と歩いた幼い自分の姿を、別の視点から見つめているようなイメージが浮かんでいます。
脳内で記憶が美化されて再編集されているのかもしれませんね。

最後に、いつものわたなび流の感想で終わりたいと思います。
クロード・モネ作「雪のアルジャントゥイユ」は、「自宅で鑑賞したい(欲しい)と思える作品」です。

殺風景で寂しい雰囲気が漂っていますが、私にはとても美しいと感じられる作品だからです。

まとめ

モネ作「雪のアルジャントゥイユ」
  1. 「雪のアルジャントゥイユ」は、モネがサン=ドニ通りを描いた作品。
  2. 白い世界からは空気の冷たさまで伝わってくるような感じがする。
  3. 雪に覆われた町並みも美しい。

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