あなたには、いつかは行きたいと思う場所がありますか?
もしかすると、すでに実現していらっしゃるかもしれませんね。
私にはいくつか行きたい場所がありますが、そのひとつがヴェネツィアです。
ヴェネツィアは多くの画家が描いてきた街です。
今回は1994年(平成6年)に伊勢丹美術館で開催された「アイルランド国立美術館名品展」の図録から、ミケーレ・マリエスキが描いた「ヴェネツィアのサン・マルコ広場」をもとに、世界的に有名な観光名所の魅力を探ってみたいと思います。
ミケーレ・マリエスキ作「ヴェネツィアのサン・マルコ広場」とは

- 制作年:1730年代後半
- サイズ:55.0 × 83.0cm
- 油彩、カンヴァス
ヴェネツィアのサン・マルコ広場は、おそらく世界で最も有名な広場のひとつと言っても過言ではないと思います。
ヨーロッパの画家たちは時代を越えて同じ広場を描いてきました。そのため現在のように旅行が身近ではなかった時代でも、「ヴェネツィア」や「サン・マルコ広場」を知っている人は数多くいたことでしょう。
ミケーレ・マリエスキの「ヴェネツィアのサン・マルコ広場」には、鐘楼やサン・マルコ寺院(大聖堂)、行政庁(現在の旧行政館)が描き込まれています。
- 画面左:サン・マルコ寺院(大聖堂)
- 画面中央:鐘楼
- 画面中央~右:行政庁(現在の旧行政館)
ミケーレ・マリエスキは画面の中央に堂々と鐘楼を配置しています。
サン・マルコ広場を題材とした絵画で、このアングルは珍し気がします。私の印象では、サン・マルコ寺院(大聖堂)を正面にし、奥行きを持たせて鐘楼を配置する作品のイメージが強く残っているからです。写真でもそのようなアングルが多いのではないでしょうか?

このようなイメージです。
ミケーレ・マリエスキが描いたサン・マルコ広場には、人々の往来も描き込まれています。屋台のテントのようなものもあり、当時のヴェネツィアの雰囲気を写真のように伝えてくれています。
ミケーレ・マリエスキの「ヴェネツィアのサン・マルコ広場」は、美しい風景画としてだけでなく景観画としても重要な作品だと思います。
ミケーレ・マリエスキとは

ミケーレ・マリエスキは33歳という若さで亡くなった夭折の画家です。その誕生は1710年(宝永7年)のヴェネツィアです。
マリエスキはヴェネツィアでの修行後、ドレスデン(ドイツ)で絵を描いたようです。ザクセン選帝侯がフリードリヒ・アウグスト1世かフリードリヒ・アウグスト2世の頃ですね。
ドレスデンはフリードリヒ・アウグスト1世の時代に著しく発展したようなので、新しい建物の風景画・景観画などを描いたのではないかと思われます。
その後マリエスキはヴェネツィアに戻っています。やはり都市景観を題材に描いたのでしょう。
ミケーレ・マリエスキは1743年(寛保3年)にヴェネツィアで亡くなりました。
上述の通りマリエスキは早くに亡くなっているため、彼の作品だと確実に証明されている作品は多くはないようです。
ヴェネツィアの魅力について

ヴェネツィアはイタリア北東部にある都市で、「水の都」とも言われています。英語に基づく読み方は「ヴェニス」または「ベニス」です。
その歴史は452年にまで遡るようです。ゲルマン人の侵略からの避けどころになっていたようです。
ヴェネツィアを含むアドリア海沿岸地域は、東ローマ帝国が支配していました。
697年にヴェネツィア人が独自の共和制による統治を開始したことにより、ヴェネツィア共和国が誕生します。中世におけるヴェネツィアは、ヴェネツィア共和国の首都として繁栄しました。現在も約26万人の人口を抱えています。
ヴェネツィアの名前はラテン語の「ウェネティ人の土地」という言葉に由来しています。このウェネティ人が、海に面したこの土地を「ウェネティア(Venetia)」と呼んだのです。
ヴェネツィアは1971年(昭和46年)に制作された映画「ベニスに死す」の舞台にもなっています。個人的には、ダニエル・クレイグ主演の映画「007 カジノ・ロワイヤル」の印象が強いですが…
そのモデルはヴェネツィアだったそうだよ。
懐かしい。
ヴェネツィアは「水の都」と呼ばれるだけあって、ゴンドラの浮かんでいる景色は絵になりますよね。
最近では建築物の老朽化や地盤沈下などの問題も抱えているようです。サン・マルコ広場が水浸しになっている光景をニュースで見たことがあります。
1987年(昭和62年)には「ヴェネツィアとその潟」として世界遺産(文化遺産)に登録されました。
私にはヴェネツィアの街全体が芸術作品のように思えてなりません。本当に行ってみたい街のひとつです。
わたなびはじめの感想:ミケーレ・マリエスキ「ヴェネツィアのサン・マルコ広場」について

ミケーレ・マリエスキの描いた「ヴェネツィアのサン・マルコ広場」は、観光ポスターのような感じがします。
この作品が描かれた当時からアイルランド国立美術館に収蔵されるまでの期間、どのような人々の目に触れたのかはわかりません。しかしアイルランドの美術館が収蔵していることを考えると、ヴェネツィア(イタリア)に止まらず、海外の人々も観ていた可能性もあり得ますよね。
そうだとするならば、この作品を観たことがキッカケでヴェネツィアに行こうと思った人もいると思うのです。想像ですけれど…
サン・マルコ寺院(大聖堂)があることで、観光ではなく礼拝に訪れる人々も大勢いたことでしょう。
いずれにしてもミケーレ・マリエスキ作「ヴェネツィアのサン・マルコ広場」は、ヴェネツィアの魅力をスッキリしたイメージと共に伝えてくれています。
最後にいつものわたなび流の感想で終わりたいと思います。
ミケーレ・マリエスキ作「ヴェネツィアのサン・マルコ広場」は、「自宅で鑑賞したい(欲しい)と思える魅力的な作品」です。
まとめ
- マリエスキは夭折の画家。
- マリエスキは都市景観画を描いていた。
- 「ヴェネツィアのサン・マルコ広場」は観光ポスターに使用されてもおかしくないと思える作品。