ベートーヴェン生誕250年の今年。
ピアニスト ヴィルヘルム・ケンプの演奏で、ベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫」を聴いた感想をお伝えします。
■ヴィルヘルム・ケンプ|ベートーヴェン ピアノ・ソナタ≪悲愴≫≪月光≫≪ワルトシュタイン≫≪熱情≫
- ピアノ:ヴィルヘルム・ケンプ
- ドイツ・グラモフォン
- 発売元:ユニバーサル ミュージック株式会社【UCCG-3344】
- 販売元:ビクターエンターテインメント株式会社
ベートーヴェン作曲「ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫」とは

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが「ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫」を作曲したのは、1798年(寛政10年)~1799年(寛政11年)にかけてのことでした。
「悲愴」という標題はベートーヴェンが付けたのもですが、その理由についてはわかっていません。
「ピアノ・ソナタについて理解しよう!」でご紹介したように、通常ピアノ・ソナタは3~4の楽章数で構成されています。
「ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫」については、第4楽章がない構成になっています。
さまざまな映像作品などで使用されている「ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫」。
私の場合、ベートーヴェンといえば交響曲の作曲に注目してしまいますが、ピアニストでもあった偉大な作曲家の繊細なピアノ・ソナタも非常に魅力的です。
交響曲における第2楽章に対して、どちらかというと「静かでインパクトに欠ける」という失礼なイメージを持っている私ですが、この「ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫」の第2楽章は、静かながら絶大なるインパクトを持った特異的な楽章だと感じています。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンとは

ベートーヴェンについては『すぐわかる!ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンとは|その生涯と作品たち』をご参照ください。

ヴィルヘルム・ケンプとは

20世紀のドイツでピアニストとしてだけでなく作曲家や著作家、教育者としても活動したヴィルヘルム・ケンプの生涯については、『すぐわかる!(ピアニスト)ヴィルヘルム・ケンプとは』をご参照ください。

わたなびはじめの感想:ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫」by ケンプについて

「ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫」を初めて聴いたのはいつかと問われると、「わからない」というのが正直な答えです。その理由は、部分的ではあっても色々な作品で用いられているから。
それだけ、人々の心に何かを訴えかけるチカラを持った作品なのだと思います。
私はピアニストについて「誰の演奏が好きとか苦手とか」言えるほど詳しくありません。
そのため「ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫」の収録されたCDを購入する際に、特定のピアニストの作品を購入しようとはしませんでした。ただし、ベテラン・ピアニストの演奏を選ぼうとした記憶があります。(いつ購入したのかも覚えていないほど前のことですが…)
そういった経緯でヴィルヘルム・ケンプという、すばらしいピアニストの演奏作品にたどり着いたわけです。
良くも悪くもケンプの演奏が、ベートーヴェンのピアノ・ソナタのスタンダードとして、私の頭にインプットされました。
おそらくは、それでよかったと思います。聴いていて派手さはあまり感じませんが、楽曲やピアノという楽器に真摯に向かい合った演奏家だと感じるからです。
今後、他のピアニストの演奏する「ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫」を聴くこともあるとは思いますが、どのような出会いになるのか楽しみです。
ここからは「ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫」の楽章ごとの印象と感想をお伝えします。【 】は今回聴いたCDの演奏時間です。
■第1楽章【7分14秒】
悲しみが全体を支配していますが、所どころ儚げな美しい響きが聴こえてきます。徐々にテンポアップしていき、激しさが加わってきます。
中盤には感情の盛り上がりを迎え、再び、悲しい響きに戻る場面も。しかし、収まりきらない葛藤が渦を巻くように繰り返されます。
終盤は一時的な静寂が訪れ、最後は歯切れよく幕を閉じます。
■第2楽章【4分53秒】
何とも表現しがたい安らぎと静けさに溢れた旋律。静かでありながら、心にしっかりと刻み込まれる、不思議な魅力で覆われた楽章です。
5分弱の短い時間ではありますが、真摯に自分を見つめ返すことができそうです。
■第3楽章【4分31秒】
第2楽章とは対照的にリズミカル。やさしく弾けるような音のつながりが非常に美しいです。
滑らかさと優雅さが融合したような心地よさを持っています。最後は一瞬のキラメキを発して、潔く終わります。≪悲愴≫の中で1番短い楽章です。
そういえば、劇場版「のだめカンタービレ」でも「ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫」が使用されていました。
そういった映像作品におけるシーンの印象が楽曲の持つ本質的な要素に付加されて、聴いた人独自のイメージを形成していくのかもしれませんね。
ヴィルヘルム・ケンプのピアノ演奏による「ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫」との出会いは、私にとって宝物のひとつです。
まとめ
- 熟練されたピアニスト・ケンプの名演奏。
- 「ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫」は、さまざまな作品でも使われている名曲。
- ピアノの魅力を感じられる楽曲と演奏。
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