グリーグ作品を聴くことが増えている今日この頃。
カラヤン・ゴールドシリーズ【CD】の中に、クリスティアン・ツィマーマン(ピアノ)とカラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏があったので聴いてみました。
ツィマーマンの紹介(別ページにリンク)とともに演奏を聞いた感想をお伝えします。
■シューマン・グリーグ「ピアノ協奏曲」/ ツィマーマン(ピアノ)
- ピアノ:クリスティアン・ツィマーマン
- 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
- 演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- ドイツ・グラモフォン カラヤン・ゴールドシリーズ
- 発売:ポリドール株式会社【POCG-9359】
グリーグ作曲「ピアノ協奏曲」とは

エドヴァルド・グリーグはその生涯で「ピアノ協奏曲」を1曲しか作曲しませんでした。
しかしこの「ピアノ協奏曲」の人気は高く、グリーグの若い時代の傑作のひとつとも言われています。間違いなくグリーグの代表作のひとつでしょう。
1868年(慶応4年・明治元年)の夏、当時25歳のグリーグはデンマーク・コペンハーゲンへの避暑旅行に行きました。グリーグの「ピアノ協奏曲」はデンマーク滞在中に完成した楽曲です。
グリーグの「ピアノ協奏曲」からはノルウェーの風景を想い描かせるような音楽による情景描写が感じられ、美しく詩的な場面を含んだ作品になっていると思います。
「ピアノ協奏曲」の初演は1869年(明治2年)4月3日にデンマーク・コペンハーゲンで行なわれました。ピアノを演奏したのはエドムンド・ネウパルトです。
結婚の翌年にできた楽曲だし、よほど思い入れのある作品だったのかもしれないね。
この項の最後に、CDのライナーノーツに掲載されていた興味深いエピソードをご紹介しましょう。
また、グリーグは、1870年にローマでリストと会ったが、リストは初見でこの曲を完璧に演奏し、この作品を絶賛してグリーグを励ましたという。
出典:『シューマン・グリーグ「ピアノ協奏曲」/ツィマーマン(ピアノ)ライナーノーツ』
柴田龍一著 6ページ
天才ピアニストからの賞賛は、若きグリーグにとって力強い励ましになったことでしょう。
ピアニスト クリスティアン・ツィマーマンとは

ポーランド出身の世界的ピアニスト クリスティアン・ツィマーマンについては、『すぐわかる!世界的ピアニスト クリスティアン・ツィマーマンとは』をご参照ください。

エドヴァルド・グリーグとは

エドヴァルド・グリーグは、ノルウェーの作曲家です。
グリーグについては、『すぐわかる!エドヴァルド・グリーグとは|ペール・ギュントや抒情小曲集で有名な作曲家の生涯について』をご参照ください。

わたなびはじめの感想:グリーグ「ピアノ協奏曲」について

ここからはカラヤン・ゴールドシリーズ【CD】に収録されたヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、グリーグの「ピアノ協奏曲」を聴いた感想をご紹介します。ピアノのソリストは、クリスティアン・ツィマーマンです。
【 】は今回聴いたCDの演奏時間です。
■第1楽章【14分03秒】
ふたつの主題で構成されているソナタ形式の楽章です。
第1主題はティンパニーが冒頭から鳴り響きます。悲劇が起こる前触れのような印象的な始まりです。
ピアノで奏でられる旋律は、きっとどこかで聴いたことがあるのでは?
流れるような音色を奏でたり、飛び跳ねるように紡がれるピアノが美しい!
(第1主題はフィヨルドに注ぎ込む滝を表現しているようです。)
オーケストラも迫力があって、ピアノとともに楽曲の世界観を造り出しています。激しいピアノを受け止めている場面も見受けられますよ。
第2主題は柔らかな印象。
ピアノによる静寂感あふれる音の空間が構築されていく感じがした後、流れるようなピアノが徐々に強さを増していき濁流のように。
ラストはピアノによる冒頭部の再現にオーケストラが加わり大迫力のなか終わります。
ピアノの美しさだけでなく、全体的にどこか素朴な感じが漂っていて聴きやすくていい感じです。
■第2楽章【7分13秒】
とても静かな始まり。美しさと悲しみが同居しているような情感あふれる旋律が続きます。北欧っぽさを感じます。
ピアノの入り方が美しい。その後はオーケストラとの掛け合いで、キラキラと輝きを放ちます。
繊細で優雅な美しさを持った楽章です。
■第3楽章【10分53秒】
のどかで牧歌的な出だしの直後から、テンポアップしてピアノの躍動感が感じられます。ピアノの鮮やかで鮮烈な演奏と、オーケストラの包み込むような掛け合いが序盤を形成します。
ピアノの鮮やかさに対して、迫力で応えたり、和やかに誘導したりする管弦楽もすばらしい。
中盤は雰囲気がガラリと変わり、素朴でユーモラスな感じからダイナミックな音の波へと変化していく場面もあります。
終盤はオーケストラによって激しさが表現され、ピアノが駆け足のように演奏されたりしながら、壮大なクライマックスへと突入していきます。
ピアノの美しさが際立つ楽章で、楽曲全体を通じてもドラマチックな最終楽章になっています。
チャイコフスキーのピアノ協奏曲 第1番もダイナミックなピアノで始まるのが印象的ですが、グリーグのピアノ協奏曲もその点では引けを取りません。
ピアノの美しさを堪能できるのはもちろんのことですが、オーケストラの演奏もすばらしい。
収録された演奏の印象として、ツィマーマンとカラヤン&ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の相性は良かったように思います。
グリーグ唯一のピアノ協奏曲を存分に楽しめました。
まとめ
- グリーグの遺した唯一のピアノ協奏曲。
- グリーグは晩年に至るまでピアノ協奏曲を改定していた。
- リストが初見でグリーグのピアノ協奏曲を弾いたエピソードも興味深い。
■関連CDのご案内です。(カラヤン・ゴールドシリーズではありません。)
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