交響曲の父とも呼ばれるハイドン。
ベートーヴェンの師でもあり、100を超える交響曲を遺しています。
今回は交響曲第94番「驚愕」を、カラヤン&ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で聴いた感想をお届けします。
■ハイドン:交響曲第94番≪驚愕≫/交響曲第101番≪時計≫
- 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
- 演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- ドイツ・グラモフォン カラヤン・ゴールドシリーズ
- 発売:ポリドール株式会社【POCG-9773】
ハイドン作曲「交響曲第94番≪驚愕≫」とは

ハイドンが交響曲第94番「驚愕」を作曲したのは、1度目にイギリスを訪問・滞在した1791年(寛政3年)です。後述するエステルハージ家を離れた後のことです。
交響曲第94番「驚愕」はハイドンの作品のなかで、最も有名な曲のひとつ。
4つの楽章から成り立っていて、演奏時間は約25分弱といったところです。
ところで、なぜ「驚愕」と言われるのでしょうか?
その理由は第2楽章にあります。ヒミツはティンパニの打撃音です。
眠気覚ましの効果を狙ったとか…
ちょっぴりおもしろいですよね。
ハイドンとは

フランツ・ヨーゼフ・ハイドンは、オーストリア出身の古典派を代表する作曲家のひとりです。
代表的な作曲家としては、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンといった方々。
上述の約100年間は、ハイドンの誕生からベートーヴェンの亡くなるまでの期間とほぼ重なっているんだよ。
ハイドンの特筆するべきは、その作曲数の多さです。交響曲だけでも100曲を超え、弦楽四重奏曲も60曲を越えています。
そのため「交響曲の父」「弦楽四重奏曲の父」とも呼ばれるほど。ハイドンの作品は、現在のドイツ国歌でも聴くことができます。
ハイドンの生きた時代の音楽家は、宮廷などのお抱え音楽家となって生計を立てるのが一般的でした。一般民衆に楽譜を販売したり、コンサートを開催して興行収入を稼ぐフリーランス的なスタイルが流行るのはもう少し後のこと。(ヘンデルは例外かもしれません。)
ハイドンの場合、人生の多くをエステルハージ家に仕えて過ごしました。
ハイドンの生涯については、『すぐわかる!ハイドンとは』をご参照ください。

わたなびはじめの感想:ハイドン作曲「交響曲第94番《驚愕》」について

何げなく妻に「ハイドンの曲で知っているのある?」と聞いたところ、「びっくり交響曲なら知っている。」と答えがありました。
妻にはよく器が「小っさい」と言われているだよ~。
その「びっくり交響曲」が、今回ご紹介する交響曲第94番「驚愕」なのです。
恥ずかしながら、私はこれまでハイドンの曲はほとんど聴いたことがありませんでした。不思議なことに「交響曲の父」とまで言われる音楽家の曲について、聴いてみようと思わなかったのです。
カラヤン・ゴールドシリーズのCDを収集する過程で、ハイドンの交響曲に触れる機会を得ていましたが、聴くことはありませんでした。
しかし、モーツァルトの友人であり、ベートーヴェンの師匠でもある人物に対する興味が無かったわけではないのです。
そして本日、(私の中で)ついに機は熟しました。
ここからは交響曲第94番「驚愕」の楽章ごとに、感想をお伝えします。【 】は今回視聴したCDの演奏時間です。
■第1楽章【9分41秒】
爽やかな幕開け。まるで優雅な休日の朝のようです。
その後、徐々にリズミカルに変化し、パッと明るい表情を見せます。時折、ゴージャス感もあり、全体を通じて朗らかな印象を受ける楽章です。
■第2楽章【5分40秒】
出だし部分の旋律は、どこかで耳にしていたような気がします。油断していると、ビックリしますよ!
ユーモラスで心が晴れやかになる気がします。
CDジャケットにティンパニマレット(バチ)が描かれているのは、この楽章に由来しているのでしょう。
■第3楽章【4分14秒】
弾むような軽快なメヌエット。
耳に心地よいメロディーで構成されています。
■第4楽章【3分59秒】
しなやかな徒競走?といった印象を受けるはじまり。
全楽章と通じて、最も疾走感があります。それとともに、感情的な盛り上がりも感じます。
一番短い楽章です。終わり方も後味スッキリです。
ハイドンの交響曲をじっくりと鑑賞したのは今回が初めてです。
交響曲第94番「驚愕」は、聴く前のイメージとは違って心地よい爽やかな作品です。「驚愕」という副題に惑わされていた感があります。
長い期間、ハイドンが貴族に作品を提供していた影響を感じます。(勝手な思い込みかもしれませんが…)
カラヤンとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏は、すばらしいのひと言。
ですが、この曲自体聴いたことがなく、もちろん他の指揮者やオーケストラの演奏も知らないので、他作品との比較はできません。
ハイドンは他の有名音楽家と比べて膨大な数の作曲をしていますが、その間の苦労について私はほとんど知りません。その作品数に圧倒されるばかりです。
高校で音楽を選択しなかったので何とも言えませんが、バッハやモーツアルトといった音楽家と同じくらい、学校の授業で採り上げられても良いのではないかと思います。
ある意味、私にとって初めてのハイドンは、非常に清々しい印象とともに、彼の他作品にも興味を抱かせるものとなりました。
まとめ
- ハイドンは100以上の交響曲を作曲した。
- モーツアルトとも親交があった。
- 交響曲第94番「驚愕」のヒミツは第2楽章のティンパニにあり!
■関連CDのご案内です。
↓