ジャン・シベリウスが作曲した「トゥオネラの白鳥」をカラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で聴いてみました。
作品にまつわる情報や、カラヤン・ゴールドシリーズ【CD】に収録された楽曲の感想をご紹介します。
■グリーグ「ペール・ギュント」第1・2組曲/ホルベルク組曲:シベリウス「フィンランディア」/「悲しきワルツ」他
- 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
- 演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- ドイツ・グラモフォン カラヤン・ゴールドシリーズ
- 発売:ポリドール株式会社【POCG-9358】
ジャン・シベリウス作曲「トゥオネラの白鳥」とは
「トゥオネラの白鳥」は、シベリウスが1893(明治26年)~1896年(明治29年)に作曲した交響詩集「レンミンカイネン組曲」の第2楽曲です。
交響詩集「レンミンカイネン組曲」は、その後改定が繰り返されます。1896年(明治29年)4月13日の初演で、シベリウス自身が指揮した際の曲順は次の通りです。
- レンミンカイネンと島の乙女たち
- トゥオネラのレンミンカイネン
- トゥオネラの白鳥
- レンミンカイネンの帰郷
シベリウスは1890年(明治23年)のベルリン留学の際に、リヒャルト・ワーグナーのオペラに感銘を受けました。
オペラの作曲に意欲をかき立てられたシベリウスは、フィンランドの国民的叙事詩「カレワラ」を題材として歌劇「船の建造」の制作に取り掛かります。
しかしオペラの研究を進めるにつれ表現方法に疑問を感じるようになり、歌劇「船の建造」の制作は頓挫してしまいます。
そして歌劇「船の建造」の序曲を「トゥオネラの白鳥」として改作します。さらに3つの交響詩を加えて「レンミンカイネン組曲」を完成させたのでした。
「トゥオネラの白鳥」の情景
「トゥオネラの白鳥」は、フィンランドの国民的叙事詩「カレワラ」から着想を得ています。
英雄で馬ぞりの名手レンミンカイネンは、自身との約束を破った妻キュッリッキに対して激怒し、新しい妻を探しに北国ポホヨラへと向かいます。
ポホヨラで乙女と出会ったレンミンカイネン。彼は乙女との結婚の条件として、3つの課題を突き付けられるのでした。
- 妖かしの森に住む大鹿を捕まえること。
- 妖かしの森の馬(火のような口をしている雄の馬)に轡(くつわ)をはめること。
- トゥオネラ川(黄泉の国の川)に住む白鳥を射止めること。
2つの課題をクリアしたレンミンカイネン。
そしてトゥオネラ川のある黄泉の国に旅立つ姿を描いている場面が「トゥオネラの白鳥」です。
シベリウスは「トゥオネラの白鳥」で、黒い死の川を泳ぐ白鳥が嘆きの歌を歌う様子を幻想的に表現しています。
その後、母の呪文?により蘇生し、帰途に就くのでした。
ジャン・シベリウスとは
ジャン・シベリウスは、後期ロマン派の作曲家でありヴァイオリニストです。シベリウスについては、『すぐわかる!ジャン・シベリウスとは』をご参照ください。
わたなびはじめの感想:ジャン・シベリウス「トゥオネラの白鳥」について
ここからはカラヤン・ゴールドシリーズ【CD】に収録されたヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、シベリウスの「トゥオネラの白鳥」を聴いた感想をご紹介します。
【 】は今回聴いたCDの演奏時間です。
■「トゥオネラの白鳥」【7分55秒】
悲愴感漂う始まり。ゆっくりと手探りで闇の中を進んでいるような雰囲気です。弦楽器の低音が響きます。
イングリッシュ・ホルンが悲しい白鳥の調べを表現しているのでしょう。悲愴感と美しさが入り混じったような旋律が続きます。
弦楽器がピチカートでアクセントを添えます。ハープの音色も幻想的なムードを高めています。チェロの低音には渋みを感じさせられます。
終盤に向けて音の厚みが高まりますが、その後は落ち着きを取り戻します。ラストは静かに幕を閉じます。
派手さはありませんが、静かで幻想的な悲壮感を感じる楽曲です。
まとめ
- シベリウスのオペラ挑戦から生まれた作品。
- 「トゥオネラの白鳥」は悲愴感漂う美しい楽曲。
- イングリッシュ・ホルンが白鳥を表現。
■関連CDのご案内です。
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グリーグ:≪ペール・ギュント≫第1・第2組曲 ホルベルク組曲 シベリウス:フィンランディア/悲しきワルツ トゥオネラの白鳥 [ ヘルベルト・フォン・カラヤン ] 価格:1,653円 |