ジャン・シベリウス作曲の「悲しきワルツ」をカラヤン・ゴールドシリーズ【CD】で聴いてみました。
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏です。
その感想をご紹介します。
■グリーグ「ペール・ギュント」第1・2組曲/ホルベルク組曲:シベリウス「フィンランディア」/「悲しきワルツ」他
- 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
- 演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- ドイツ・グラモフォン カラヤン・ゴールドシリーズ
- 発売:ポリドール株式会社【POCG-9358】
ジャン・シベリウス作曲「悲しきワルツ」とは

ジャン・シベリウスが「悲しきワルツ」を作曲するにいたるには、「クオレマ」という戯曲が大きく関係しています。
戯曲「クオレマ」は、シベリウスの義兄アルヴィド・ヤルネフェルトの作品です。シベリウスは「クオレマ」の付随音楽を担当しました。
1903年(明治36年)に「クオレマ」の付随音楽を作曲したシベリウス。翌1904年(明治37年)、「クオレマ」の付随音楽・第1曲を改定し「悲しきワルツ」が誕生しました。
「悲しきワルツ」の初演は、1904年(明治37年)年4月25日です。1905年(明治38年)には「悲しきワルツ」の楽譜が出版され、人気が高まり、シベリウスの代表作のひとつとなりました。
戯曲「クオレマ」のあらすじ
戯曲「クオレマ」は全3幕の作品です。全体を通じて「死」がテーマになっています。
■第1幕
病気で寝込んでいる母親と息子パーヴァリが登場します。
母親が眠りにつくと、踊り子たちの姿とともに音楽の流れている夢をみます。踊り子たちとワルツを踊る母親。
しかし、彼女は踊りの後に疲れてしまうのでした。踊り子たちの姿が消えた後、母親はまたワルツ踊りはじめるのでした。
そんな折、扉をたたく音が聞こえ音楽がやみます。そこには死神が立っているのでした。
■第2幕
少年から青年へと成長したパーヴァリはさすらいの旅の途中、老いた魔女の住む小屋を見つけます。パーヴァリは魔女のためにパンを焼くなどの世話をします。老いた魔女はパーヴァリに、将来の花嫁に会えるという指輪を渡します。
場面は夏の明るい森へと移り、そこには乙女エルザが歌を口ずさんでいました。
パーヴァリとエルザは出会い、寄り添いながら眠ります。目覚めたパーヴァリは出立の準備をしますが、エルザはともに居ることを望みます。
二人の上に鶴の群れが飛んできて、そのうちの一羽が赤ちゃんを運んでくるのでした。
■第3幕
結婚したパーヴァリとエルザ。パーヴァリは自身のお金で学校を建てます。
ところが悲劇が起こります。パーヴァリとエルザの家から出火したのです。
炎の中に母親の亡霊を見たパーヴァリ。それは死神だったのです。
家の倒壊とともに息を引き取るパーヴァリ。エルザと悲しむ村人たち。
エルザはパーヴァリは心の中で生きていると語り、物語は幕を閉じます。
「悲しきワルツ」が使用される場面・背景
戯曲「クオレマ」で「悲しきワルツ」の原曲が使用されたのは、第1幕のパーヴァリの母親がワルツを踊る場面でしょう。
何とも切ない場面ですが、「悲しきワルツ」の曲名にはピッタリかもしれませんね。
ジャン・シベリウスとは

ジャン・シベリウスは、後期ロマン派の作曲家でありヴァイオリニストです。
シベリウスについては、『すぐわかる!ジャン・シベリウスとは』をご参照ください。

わたなびはじめの感想:ジャン・シベリウス「悲しきワルツ」について

ここからはカラヤン・ゴールドシリーズ【CD】に収録されたヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、シベリウスの「悲しきワルツ」を聴いた感想をご紹介します。
【 】は今回聴いたCDの演奏時間です。
■「悲しきワルツ」 【6分03秒】
静かで不穏なムードで始まります。こんなにも暗いワルツがあるのかと思うほどです。
徐々にテンポが良くなり、明るい兆しを感じはじめます。その後、フルートによる優雅な調べへと移りますが、再び暗い陰りに支配されていきます。
曲中一番のクライマックスを迎えます。テンポが変わり、ちょっぴりエキゾチックな感じも受けます。
ザワツキが止み静寂が訪れて終わります。
戯曲「クオレマ」の第1幕をイメージしながら聴くと、何とも寂しい感じがします。
陰鬱なのに優雅なワルツといったところでしょうか。
まとめ
- 「悲しきワルツ」は、戯曲「クオレマ」の付随音楽の第1曲を改定した作品。
- 「悲しきワルツ」はシベリウスの代表作のひとつ。
- 悲しみと優雅さを併せ持つ不思議な楽曲。
■関連CDのご案内です。
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グリーグ:≪ペール・ギュント≫第1・第2組曲 ホルベルク組曲 シベリウス:フィンランディア/悲しきワルツ トゥオネラの白鳥 [ ヘルベルト・フォン・カラヤン ] 価格:1,653円 |