美しきクラシック・ギターリストの村治佳織さん。
2010年(平成22年)に発売された「ソレイユ~ポートレイツ2~」は、クラシック音楽以外の楽曲も収録されています。
私は10年前のアルバム・リリースコンサートにも行き、CDにサインをいただいてきました。このコンサートには、フラメンコギタリストの沖仁さんもゲスト出演されていました。
沖仁さんといえば、日本人で初めて3大フラメンコギターコンクールのひとつ「ムルシア ” ニーニョ・リカルド ” フラメンコギター国際コンクール」で優勝された方です。
懐かしい!
■村治佳織「ソレイユ~ポートレイツ2~」
- ギター:村治佳織
- DECCA
- ユニバーサル・ミュージック【UCCD-9767】
村治佳織「ソレイユ~ポートレイツ2~」初回限定盤とは

村治佳織「ソレイユ~ポートレイツ2~」には、クラシックギターの楽曲以外の作品もアレンジ・収録されています。
村治佳織「ソレイユ~ポートレイツ2~」初回限定盤の収録曲をご紹介します。
- ヒア・カムズ・ザ・サン【2分10秒】
- ギターのためのカルメン組曲【7分22秒】
- そよ風の誘惑【3分49秒】
- フィーコ「リブラ・ソナチネより第3楽章」【3分32秒】
- オルフェのサンバ【1分27秒】
- サウンド・オブ・ミュージック【4分43秒】
- アローン・アゲイン【4分42秒】
- 大聖堂 Ⅰ【2分19秒】
- 大聖堂 Ⅱ【1分49秒】
- 大聖堂 Ⅲ【3分46秒】
- ケルン 1975年1月24日 パートⅡc【6分22秒】
- ルーゼス・ド・リオ【2分47秒】
- エル・ディア・アンテス【3分51秒】
- 前奏曲 第15番 変ニ長調「雨だれ」【5分05秒】
- ザ・ウェイ・ウィー・ワー「追憶」【5分30秒】
■特典DVD「ギターのためのカルメン組曲(ビゼー)ビデオクリップ」付き
「ヒア・カムズ・ザ・サン」は、元ビートルズのジョージ・ハリスンの作詞・作曲の楽曲がアレンジされたものです。
「そよ風の誘惑」はオリビア・ニュートン=ジョンが歌っていた曲です。美しい曲で、心がなごみます。村治佳織さんのクラシックギターの音色に合っていますね。
「そよ風の誘惑」やオリビア・ニュートン=ジョンを知らなくても、電話の保留音などで耳にしているのではないでしょうか?
アグスティン・バリオスの「大聖堂」に注目!
「大聖堂Ⅰ~Ⅲ」は、パラグアイのギタリストであり作曲家でもあったアグスティン・バリオスが作曲した作品です。
アグスティン・バリオスは、1885年(明治18年)5月5日に生まれました。
13歳でアスンシオン国立大学 音楽学部に入ったというのですから驚きです。しかも奨学金を受けてのことでした。
作曲活動に本腰を入れ始めたのは1905年(明治38年)頃だと言われています。
1906年(明治39年)には大学を卒業し、本格的な演奏活動を始めます。
アグスティン・バリオスは作曲者としても精力的で、300曲以上ものギター伴奏歌曲を遺しています。ブラジルやウルグアイをはじめ南米で活動し、ヨーロッパでも高い評価を得ました。
アグスティン・バリオスは、1944年(昭和19年)8月7日に心臓病で亡くなりました。
大聖堂
「大聖堂(La Catedral)」は、アグスティン・バリオスがウルグアイに在住中の1921年(大正10年)に作曲されました。Ⅰプレルディオ(プレリュード)、Ⅱアンダンテ、Ⅲアレグロの3楽章で構成されています。
作曲年順に紹介すると、ⅡアンダンテとⅢアレグロが1921年に作曲されています。ウルグアイのモンテビデオの大聖堂に着想を得ています。上述の作曲年はこれに基づいています。
第2楽章は大聖堂に集まる信者の祈りが、第3楽章では祈りを終えて大聖堂を後にする信者の姿がイメージされているようです。
Ⅰプレルディオ(プレリュード)は、キューバのハバナの大聖堂に触発されて、1938年(昭和13年)に作曲されています。第1楽章は前奏曲の意味で、「郷愁」を意味する「サウダーデ」という副題が付けられています。
第1楽章の方が他の2つの楽章よりも遅く作られているだけでなく、大聖堂自体も違うのですから興味深いところです。
いずれにしてもアグスティン・バリオス自身の宗教体験が作曲のキッカケになっていると言えるでしょう。
ギターリスト・村治佳織とは

村治佳織さんは、1978年(昭和53年)4月14日に東京でお生まれになりました。
幼い頃から父親である村治昇氏よりギターを学び始めます。10歳の頃には、クラシック・ギタリストである福田進一氏に師事します。
1989年(昭和64年・平成元年)の日本ジュニア・ギター・コンクール最優秀賞をはじめとして、コンクール等で数々の受賞歴をお持ちです。
村治佳織さんの受賞歴をご紹介します。
- 1991年(平成3年)学生ギター・コンクール【最優秀賞】
- 1992年(平成4年)ブローウェル国際ギター・コンクール(東京)【優勝】
- 1992年(平成4年)東京国際ギター・コンクール【優勝】
- 1994年(平成6年)度 第5回 出光音楽賞受賞
- 1996年(平成8年)村松賞受賞
1993年(平成5年)にデビューリサイタルを開催し、同年、デビューCD「エスプレッシーヴォ」を発売します。翌1994年(平成6年)には、日本フィルハーモニー交響楽団と協奏曲で共演しています。
村治佳織さんのヨーロッパデビューは、1996年(平成8年)、イタリア国立放送交響楽団の定期演奏会に招待されてのことでした。
1997年(平成9年)には女子聖学院中学校・高等学校を卒業し、フランス・パリのエコールノルマル音楽院へ留学しています。エコールノルマル音楽院ではアルベルト・ポンセに師事しました。
1999年(平成11年)にはエコールノルマル音楽院を卒業し、帰国します。
国内外で演奏活動をしていた村治佳織さん。2003年(平成15年)には、英デッカ・レコードと長期専属契約を結びました。
順調にギターの演奏活動をしていた村治佳織さんですが、2005年(平成17年)には右手後骨間神経麻痺(橈骨神経麻痺)により、活動を休止せざるを得ない状況になります。その後は復帰と療養を繰り返すことに…
2011年(平成23年)には右手後骨間神経麻痺(橈骨神経麻痺)再発。復帰を果たすも、2013年(平成25年)には舌腫瘍のため長期休養に入りました。
現在は復帰されており、演奏活動の他、エッセイ本の出版やラジオ番組のナビゲーターなど活動の幅を広げていらっしゃいます。
わたなびはじめの感想:「ソレイユ・ポートレイツ2」について

クラシックギターのコンサートに足を運んだのは、現時点では、今回ご紹介している村治佳織さんの「ソレイユ~ポートレイツ2~」リリースコンサートだけです。
この日は仕事の都合で、コンサートが始まった直後くらいに会場に到着してしまいました。
近くの座席に座られていた方にはご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。演奏の合間とはいえ、聴き入りたい気持ちのジャマをしてしまったのですから。
村治佳織さんのギターは派手さは少ないけれど聴きやすく、心にスーッと入ってくる音色でした。また演奏会に行かせていただきたいですね。
その前に「ポートレイツ」も買おうかな。
村治佳織「ソレイユ~ポートレイツ2~」は、癒し系のアルバムと言えます。自宅で仕事をしている私にとっては、作業中は集中力を高め、休憩時にはリラックスできるというありがたい作品です。
私の妻は、ギターの弦を抑える際に出る「キュッ」といった音が苦手なのですが、村治佳織さんの「ソレイユ~ポートレイツ2~」は苦にならないようです。
まとめ
- 確かな技術に裏付けられた心安らぐギターの音色を楽しめる作品。
- クラシックだけにとらわれない選曲(リラックス向き)。
- リラックスしたいときにピッタリの1枚。
■関連CDのご案内です。
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