チャイコフスキーの作曲した「交響曲第5番」。同じくチャイコフスキー作曲の交響曲第6番「悲愴」と並んで人気の高い作品です。
もともとチャイコフスキーの協奏曲や序曲、バレエ音楽は好きでしたが、最近は交響曲の魅力も感じはじめています。
今回は、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で楽しみました。その感想をご紹介しますね。
■チャイコフスキー「交響曲第5番」
- 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
- 演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
- ドイツ・グラモフォン カラヤン・ゴールドシリーズ
- 発売:ポリドール株式会社【POCG-9363】
チャイコフスキー作曲「交響曲第5番」とは

チャイコフスキーは交響曲第5番を1888年(明治21年)に作曲しました。作曲期間は約4ヶ月間ほどでした。
交響曲の作曲については、交響曲第4番【1877年(明治10年)作曲】から10年以上も期間が開いています。この期間、チャイコフスキーは作曲意欲が低下していたと思われます。
そんなチャイコフスキーの転機になったのが1886年(明治19年)のヨーロッパ演奏旅行だと言われています。演奏会の成功や他の作曲家たちとの交流が、良い刺激になったと考えられています。
チャイコフスキーが交流した作曲家は次の人たちです。
- グスタフ・マーラー
- エドヴァルド・グリーグ
- リヒャルト・シュトラウス
etc...
交響曲第5番の初演は、1888年(明治21年)11月にサンクトペテルブルクでチャイコフスキー自身の指揮にて行なわれています。聴衆とは対照的に批評家の評判はイマイチでしたが、その後も演奏されていく過程で評価は高まっていきました。
チャイコフスキーとは

チャイコフスキーについては、『すぐわかる!チャイコフスキーとは|チャイコフスキーの生涯と代表作について』をご参照ください。

わたなびはじめの感想:チャイコフスキー「交響曲第5番」について

チャイコフスキーの交響曲第5番は4つの楽章で構成されています。
ここではヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏の感想を各楽章ごとにご紹介します。
【 】は今回聴いたCDの演奏時間です。
■第1楽章【15分53秒】
クラリネットの重い雰囲気で始まります。
曲が進むにつれ音の厚みが増し、荘厳さと重厚感がアップします。それでいて優雅な旋律も含まれていて、単に暗くて重たいといった印象は受けにくいです。
中盤にかけてはひとつのクライマックスを迎え、華々しい雰囲気を味わうことができます。少し地味ではありますが、ドラマチックな構成で個人的には好きです。
終盤の流麗な旋律も印象的で、曲に安定感を与えている感じがします。そこに管楽器が加わり、盛り上がっていきます。
最期は静かに暗い感じを残して終わります。
■第2楽章【13分40秒】
第1楽章に続いて重苦しい雰囲気で始まりますが、ホルンの響きが美しい!暗い闇に光が差し込むようです。テンポはゆっくりしているので落ち着きを感じます。
ホルンだけでなくオーボエも負けずに美しい!落ち着いた大人の雰囲気を感じます。
中盤を過ぎたころにアクセント的にクライマックスを迎えます。それも長くは続かず、再び落ち着きを取り戻します。
終盤には金管楽器により激動を感じさせる盛り上がりを迎え、楽章にメリハリを与えています。その後は再び静けさを取り戻し、静かに終わります。
こういう第2楽章も嫌いではないです。
■第3楽章【6分31秒】
優雅なワルツを感じさせる始まり。ここにきて「楽しい」と表現できる感じが到来です。
後ろで低く響くティンパニーも印象的です。少し忙しなさを感じさせる弦楽器ですが、耳障りな感じはしません。
少しワクワク感を感じます。
■第4楽章【12分05秒】
優雅な始まり方が美しいです。
金管楽器に導かれるようにして、徐々に盛り上がっていきます。弦楽器の厚みのある低音も貢献していますね。
その後、雰囲気はガラリと変わり、溜まっていたエネルギーが放出されていくように勢いが増していきます。それでいて騒々しくはなく、オーケストレーションの見事さを感じさせられます。
中盤では落ち着きを取り戻し、逆に寂しげな匂いも感じます。それも束の間、再び激しい奔流に巻き込まれていきます。
全楽章を通じて一番勢いを感じる楽章です。だからといって力任せではなく、聴く者の意識を惹きつける魅力を感じます。
金管楽器が高らかに鳴り響き、ティンパニーの低音がバランスをとります。勝利を得た後の行進のような意気揚々とした雰囲気が楽曲を満たします。
ラストは小刻みなテンポ良いリズムでカッコよく終わります。これぞ交響曲!といった感じの楽章です。
聴き終わった今、チャイコフスキーの交響曲第5番の人気が高い理由がわかるような気がしました。全体を通して聴くと、各楽章がそれぞれ明確な役割を持っていて、飽きのこない楽曲構築感を感じます。
あまりチャイコフスキーの交響曲を聴いてこなかった私でですが、聴きごたえがあって魅力を感じました。
カラヤンとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏も見事です。
まとめ
- チャイコフスキーが1888年に作曲した交響曲。
- 交響曲第4番から約10年という期間を経て作られた交響曲。
- 交響曲第6番「悲愴」と並び人気の高い作品。
■関連CDのご案内です。
↓