朝から何だかやる気が出ない。
そんな日はありませんか?
実は今朝の私がそうでした。そのんなときに聴きたいと思ったのが、イエペスのギターが奏でるロドリーゴの「アランフェス協奏曲」。
ソフトな演奏で押しつけがましくなく、それでいてジワジワとやる気を増していってくれる気がします。
今回はナルシソ・イエペスの演奏でホアキン・ロドリーゴ作曲「アランフェス協奏曲」を聴いた感想をご紹介します。
■ナルシソ・イエペス「禁じられた遊び~アランフェス協奏曲 ギター小品集・協奏曲名曲集」
- ギター:ナルシソ・イエペス
- ギター:ゴドリーヴ・モンダン(※2)
- 演奏:フィルハーモニア管弦楽団(※1)、イギリス室内管弦楽団(※2)
- 指揮:ガルシア・ナバロ(※1)(※2)
※1:アランフェス協奏曲、ある貴婦人のための幻想曲
※2:マドリガル協奏曲
ホアキン・ロドリーゴ作曲「アランフェス協奏曲」とは

アランフェス協奏曲は、ホアキン・ロドリーゴが1939年(昭和14年)に作曲し、翌年11月9日にスペイン・バルセロナにて初演された楽曲です。
初演時の情報は次の通りです
- 【ギター】レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ
- 【指揮】セサール・メンドーサ・ラサーリェ
- 【演奏】バルセロナ・フィルハーモニー管弦楽団
アランフェスとは、スペイン・マドリード州南部の町の名前です。マドリードから南に約48kmほどの距離にあります。
16世紀~18世紀にかけてスペイン王室の宮殿と庭園が建設され、世界遺産(2001年)に登録されています。
アランフェス協奏曲が作曲された時期は、スペインの内戦(1936年7月~1939年3月)と重なっています。ロドリーゴは1938年(昭和13年)、ドイツでアランフェス協奏曲を書き始めています。
故郷に対する平和への願いが込められていると言われています。
アランフェス協奏曲は、作曲家ホアキン・ロドリーゴの代表作のひとつです。
ナルシソ・イエペスについて

映画「禁じられた遊び」の音楽を担当したことで、一躍有名になったギターリストであるナルシソ・イエペス。10弦ギターを用いたことでも知られています。
イエペスについては、『ナルシソ・イエペスの優しいギターの魅力!フェルナンド・ソル作曲「≪魔笛≫の主題による変奏曲」』をご参照ください。
ホアキン・ロドリーゴとは

ホアキン・ロドリーゴは、スペインを代表する作曲家のひとりです。
ホアキン・ロドリーゴは、スペイン・バレンシア州サグントにて1901年(明治34年)11月22日に生まれました。
ロドリーゴが3歳の頃、悪性ジフテリアが原因で視力を失ってしまいます。8歳になるとピアノとヴァイオリンを始めます。
ロドリーゴが師事した主な人物を簡単にまとめてみますね。
フランシスコ・アンティチ | バレンシアにて師事。 |
---|---|
ポール・デュカス | エコール・ノルマル音楽院(パリ)にて作曲を学ぶ。 |
モーリス・エマニュエル | パリ音楽院 作曲科で音楽学などを学ぶ。 |
1924年(大正13年)、ロドリーゴはスペイン国家賞を授与されます。その際の作品は、管弦楽曲「子どものための5つの小品」でした。
1939年(昭和14年)、ロドリーゴはスペインの内戦終結に伴い帰国します。それからはマドリードにて作曲活動を行なうようになります。
翌1940年(昭和15年)11月9日、「アランフェス協奏曲」は初演を迎え、大成功します。ロドリーゴ自身はギター奏者ではありません。
ロドリーゴは作曲だけでなく、ピアニスト、教育などの分野でも活動します。
教育に関しては、1947年(昭和22年)から、マドリード総合大学 哲学科・文学科で音楽史を教えました。ロドリーゴが教授になっていたことから考えるに、音楽に対する情熱は計り知れないものがあったと推察されます。
ロドリーゴが作曲したのは、オペラやバレエ、管弦楽曲、協奏曲、歌曲、ピアノ曲、ギター曲などです。その中でも、ギターのために作られた独奏曲や協奏曲は広く愛されました。
ホアキン・ロドリーゴは1999年(平成11年)7月6日、マドリードにて老衰により亡くなりました。
まさに20世紀の最初から最後までを、まるごと体験したような人生ですね。
わたなびはじめの感想:ホアキン・ロドリーゴ「アランフェス協奏曲」について

今朝はひどくやる気が出ない状態でした。このような心理状態は私にとっては多々あることですが、特にひどかった感じがします。
外出自粛の期間でもあるので、のんびりしても良かったのですが、そんな時に音楽を聴こうと思えたのは幸いでした。そして頭に浮かんだのが「アランフェス協奏曲」だったのです。
ここからは各楽章ごとの感想をお伝えします。
■第1楽章
軽快でやさしい始まりです。刻まれるリズムが強弱を帯びて繰り返されます。そこにギターが入ってきます。
イエペスのギターの音色の特徴なのかもしれませんが、耳に心地よい!スペインっぽい情熱的な旋律も印象的です。
■第2楽章
第1楽章の印象とはガラリと変わり、郷愁を感じる楽章です。ロドリーゴの祖国に対する平和への願いが込められているからでしょう。
寂しさ交じりのしっとりした雰囲気に、心が落ち着いてきます。
どこか「必殺仕事人」のテーマと結びついてしまいます。アランフェス協奏曲中、一番長い楽章です。
■第3楽章
再びガラリと印象が変わり、リズミカルでやさしいギターの音色が続きます。(だいぶやる気が戻ってきたような気がします。)金管、木管楽器も彩(いろどり)を添えてくれます。
この楽章が、曲全体をソフトに締めくくってくれます。
アランフェス協奏曲を聴き終えた現在、やる気満々とまではいきませんが、ニュートラルに近い状態にはなっています。
時間の経過も関係していますが、イエペス奏でるギターの音色(弦が弾ける音)がソフトでやさしいんです。
アランフェス協奏曲が、萎(しぼ)んでいた心に、ゆっくり・ジワジワと元気を注いくれた感じかな。
いい時間でした。
まとめ
- アランフェス協奏曲はホアキン・ロドリーゴの代表作のひとつ。
- 個人的にイエペスのギターの音色が好き。
- 内戦のあった故郷に対する平和の願いが込められた曲。
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