「眠りの森の美女」はヨーロッパに伝わる古い民話や童話が基になっているお話です。いくつかの童話において、採り上げられている題材でもあります。
グリム童話には「茨姫(いばらひめ)」という似たお話が含まれています。「眠りの森の美女」は、ディズニーファンの方にも愛されている題材だと思います。
「眠りの森の美女」を「眠れる森の美女」として覚えている方もいらっしゃることでしょう。
「眠りの森の美女」という邦題からは、「眠りの」が森にかかっているのか美女を指しているのか迷いが生じますね。
- 眠っているように静かな森にいる美女
- 森で眠っている美女
- 「眠りの森」と呼ばれる森に居る美女
それはともかく、英語では「SLEEPING BEAUTY(スリーピング・ビューティー)」ですから、「眠っている美女」になるのだと思います。
個人的な好みとしては、「眠れる森の美女」の邦題が一番想像力を高めてくれる気がするので好きです。
組曲「眠りの森の美女」は、「白鳥の湖」や「くるみ割り人形」と共に、チャイコフスキーの三大バレエ組曲と呼ばれています。
当ブログでも「白鳥の湖」と「くるみ割り人形」の組曲はご紹介しました。
ということで、今回ご紹介するのはチャイコフスキー 三大バレエ組曲に収録されている『眠りの森の美女』となります。
■チャイコフスキー:三大バレエ組曲 カラヤン/ウィーン・フィルハーモニー
- 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
- 演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
- DECCA【UCCD-4401】
チャイコフスキーが「眠りの森の美女」を作曲した経緯とは

チャイコフスキーに「眠りの森の美女」の作曲を依頼したのは、サンクトペテルブルクにある帝室劇場のイワン・フセヴォロシスキー総裁です。それが1888年(明治21年)のこと。
「眠りの森の美女」がヨーロッパの古い民話・童話が基になっているお話であることにはすでに触れました。そのため、似たようなお話がいくつか存在しています。
バレエ「眠りの森の美女」の原作は、シャルル・ペローのおとぎ話です。それを基に帝室劇場のフセヴォロジスキー総裁が台本を作成しています。
チャイコフスキーは、フセヴォロジスキーの台本に曲を付けていったのです。
チャイコフスキーにとって最初のバレエ音楽となった「白鳥の湖」は、初演の評判がイマイチでした。(原因は曲以外のところにあり。)
白鳥の湖の不評にも関わらず、チャイコフスキーは「眠りの森の美女」の作曲に前向きだったようです。
もしくは、「次こそは、成功させる!」といった気持ちだったのかも。
あくまでも推測の域をでないけれど…
1888年(明治21年)~1889年(明治22年)にかけて「眠りの森の美女」の作曲が行なわれました。作曲には10ヶ月程度かかっています。
バレエ「眠りの森の美女」の初演は1890年(明治23年)。ロシア・サンクトペテルブルクにあるマリインスキー劇場で上演されました。
バレエ「眠りの森の美女」の初演に対する評判は悪くなかったようです。
その後、作品は海外で大ヒットします。
バレエ「眠りの森の美女」が名作としての地位を確立するのは、チャイコフスキーが亡くなった後のことです。
チャイコフスキーとは

チャイコフスキーについては、『すぐわかる!チャイコフスキーとは|チャイコフスキーの生涯と代表作について』をご参照ください。

組曲「眠りの森の美女」とは

バレエ「眠りの森の美女」は序章&全3幕からなる作品で、上演時間が長いことでも有名です。
「チャイコフスキー 三大バレエ組曲」(DECCA【UCCD-4401】)に収録されているのは次の5曲です。
- 序章とリラの精の踊り(プロローグ)
- パ・ダクシオン(アダージョ【第1幕】)
- パ・ド・カラクテ―ル【第3幕】(長靴をはいた猫と白い猫)
- パノラマ【第2幕】
- ワルツ【第1幕】
バレエの場合、一般的には縮小版が上演されることが多いのですが、それでも2時間は必要です。今回の組曲は5曲で22分程なので、非常にコンパクトな構成と言えますね。
眠りの森の美女のあらすじを紹介

時代は16世紀に遡ります。場所はフロレスタン24世の宮殿。
なかなか子宝に恵まれなかった王と王妃のもとに、女の子(オーロラ姫)が誕生します。洗礼に伴う盛大な式典(パーティー)には、6人の妖精が招かれていました。
そこに、式典に招待されていなかった悪の妖精「カラボス」が現れます。
式典に招待される「妖精」の人数にも違いがあるよ。
ディズニー映画もシャルル・ペローの作品を原作に作られているんだ。
カラボスは式典に呼ばれなかった腹いせにオーロラ姫に呪いをかけます。
その呪いとは…「オーロラ姫が16歳になったら糸車の針が刺さって死ぬ」というものでした。
王や王妃らの厳重な警戒も虚しく、16歳になったオーロラ姫は針を刺して倒れてしまいます。
ところが、幸いなことに死んだわけではありませんでした。善の妖精「リラ」が、「死」ではなく「眠り」に変えてくれたのです。
その後100年間、オーロラ姫とお城は深い眠りに入るのでした。お城は草と木で深く覆われてしまいます。
長い年月の後、眠りについているオーロラ姫の前に王子デジレが現れます。
デジレ王子はキスによりオーロラ姫を目覚めさせます。お城を覆っていた草木もなくなり、二人の盛大な結婚パーティーが行なわれるのでした。
わたなびはじめの感想:組曲「眠りの森の美女」について

組曲「眠りの森の美女」で最も有名なのは、最後に組み込まれている「ワルツ【第1幕】」だと思います。
華々しく始まり、一瞬の静寂の後、リズミカルにテンポよく進行していきます。ワクワク感を期待させる1曲だと思います。組曲の最後に入れられているのもいいですね。
カラヤンとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による名演奏だと思います。
そういえば、NHKのBS番組「プレミアムシアター」のオープニングにも使用されていますよね。
「ワルツ【第1幕】」の他にも、「パノラマ【第2幕】」の伸びやかで幻想的な演奏もすばらしいですよ!
まとめ
- 世界中で有名なストーリーに見事な曲を付けたチャイコフスキーはスゴイ!
- 「ワルツ【第1幕】」はワクワク感を呼び起こす1曲。
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