ウィーン楽友協会 大ホール(黄金のホール)で開催されるウィーン・フィル ニュー・イヤー・コンサート。
2021年(令和3年)はリッカルド・ムーティ氏が指揮を務めました。
2021年1月1日の19時からNHK・Eテレで生中継で放送されたのを視聴しました。
今回は新型コロナウィルスの感染拡大に伴ない、中止にするかどうかといった検討も重ねられたようです。
昨年の早い時期から演奏することによる感染状況を検証したり、毎日、検査を実施する徹底的な対策を講じた結果、実現したコンサートでした。
無観客での開催となりましたが、普段以上に音色に重みを感じました。
ウィーン・フィル ニュー・イヤー・コンサート2021

毎年1月1日に開催されるウィーン・フィル ニュー・イヤー・コンサート。
日本を含めて世界90以上の国と地域で放送されているため、クラシック音楽ファンの方には正月のお楽しみにしている方も少なくないはず。2021年(令和3年)は、リッカルド・ムーティが6回目の指揮を務めました。
演奏された曲目は次の通りです。
■第1部
- ファティニッツァ・マーチ
【作曲:スッペ】 - ワルツ「音波」
【作曲:ヨハン・シュトラウス2世】 - ニコ・ポルカ
【作曲:ヨハン・シュトラウス】 - ポルカ・シュネル「憂いもなく」
【作曲:ヨーゼフ・シュトラウス】 - ワルツ「鉱山の灯」
【作曲:カール・ツェラー】 - ギャロップ「大はしゃぎ」
【作曲:カール・ミレッカー】
■第2部
- 喜歌劇「詩人と農夫」序曲
【作曲:スッペ】 - ワルツ「バーデン娘」
【作曲:カレル・コムザーク】 - マルゲリータ・ポルカ
【作曲:ヨーゼフ・シュトラウス】 - ベネチア人のギャロップ
【作曲:ヨハン・シュトラウス1世】 - ワルツ「春の声」
【作曲:ヨハン・シュトラウス2世】 - ポルカ・フランセーズ「クラップフェンの森で」
【作曲:ヨハン・シュトラウス2世】 - 新メロディー・カドリーユ
【作曲:ヨハン・シュトラウス2世】 - ワルツ「皇帝円舞曲」
【作曲:ヨハン・シュトラウス2世】 - ポルカ・シュネル「恋と踊りに夢中」
【作曲:ヨハン・シュトラウス2世】 - 狂乱のポルカ
【作曲:ヨハン・シュトラウス2世】 - ワルツ「美しく青きドナウ」
【作曲:ヨハン・シュトラウス2世】 - ラデツキー行進曲
【作曲:ヨハン・シュトラウス1世】
ポルカ・シュネル「憂いもなく」やワルツ「春の声」、ワルツ「皇帝円舞曲」をセレクトしたのは、1987年(昭和62年)にカラヤンが指揮した際のオマージュかもしれません。
知らない曲に魅了されることもあるけどね。
ワルツ「春の声」では、ウィーン国立バレエ団の木本全優氏の踊りも観ることができました。昨年8月ごろに、事前収録していたそうです。
個人的には、アンコールの2曲目として定番のワルツ「美しく青きドナウ」が最高の楽しみ。今回はものすごく丁寧に音色が紡ぎだされている感じがして、記憶に残るであろう美しい名演奏でした。
観客の手拍子のない「ラデツキー行進曲」は初めて聴きました。ムーティいわく「原曲に手拍子はない」とのこと。指揮者のムーティも退場せず、前曲から連続して演奏が始まったせいかイントロの小太鼓はなし。これはこれでありかな。
2022年の指揮者は、これまた巨匠のダニエル・バレンボイム氏に。3回目のウィーン・フィル ニュー・イヤー・コンサートの指揮になりますね。
リッカルド・ムーティとは

1941年(昭和16年)7月28日にイタリア・ナポリで生まれたリッカルド・ムーティは、世界の名だたるオーケストラを指揮してきた現代の巨匠のひとりです。
1967年(昭和42年)に若手指揮者のためのグィード・カンテッリ国際指揮者コンクールで優勝しています。ブラームスやチャイコフスキーなどの演奏(録音)は高く評価されています。
2010年(平成22年)5月にシカゴ交響楽団の音楽監督に就任しました。
リッカルド・ムーティがこれまでに共演したオーケストラの一部を紹介します。
- ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
- ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- バイエルン放送交響楽団
- ニューヨーク・フィルハーモニック
- フランス国立管弦楽団
- シカゴ交響楽団
etc...
リッカルド・ムーティがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と初共演したのは1971年(昭和46年)のこと。その後、約50年間に渡り、ウィーン・フィルとの関係を深めてきたのです。
ウィーン・フィル ニュー・イヤー・コンサートの指揮も今回で6度目。ウィーン・フィルのメンバーからも絶大な信頼を得ているようです。
ウィーン・フィル ニュー・イヤー・コンサート2021の番組で行なわれた楽団員のインタビューでは、次のような主旨のコメントが放送されました。(正確に覚えていなくてすみません。)
現在のウィーン・フィルのメンバーは若返っています。
ムーティー氏はこれまでにウィーン・フィルから多くを学び、今では伝統的なウィーン・フィルの音色を我々に教えてくれているのです。
指揮者と固い絆を築いているオーケストラのメンバーが奏でる音色は、聴く側に感動を伝えます。
演奏だけでなく、ムーティと楽団員のちょっとしたやり取りからも信頼関係の強さを感じました。
これからも、リッカルド・ムーティとウィーン・フィルの奏でる演奏を楽しみたいものです。

まとめ
- 巨匠リッカルド・ムーティはウィーン・フィル ニューイヤーコンサートで6度目の指揮。
- リッカルド・ムーティとウィーン・フィルは強い信頼で結ばれている。
- 「美しく青きドナウ」の音色に重みがあって美しかった。
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