西洋絵画と聞かれて、思い浮かべるアメリカ人画家は誰でしょうか?
私の場合、どうしてもヨーロッパ出身の画家が頭に浮かんできます。アメリカには世界的に有名な美術館やコレクションが存在していることは知っていますが、米国出身の芸術家(画家)についての知識が圧倒的に不足していました。
1994年(平成6年)に東京都美術館で開催された「ニューヨークを生きたアーティストたち」展に足を運んだことで、すばらしい画家や絵画があることを知れたのは刺激になりました。
そこで「ニューヨークを生きたアーティストたち」展の図録から、印象的だった作品としてアルバータス・デル・オリエント・ブラウワー作「ニューヨーク州キャッツキル」を感想とともにご紹介します。
アルバータス・デル・オリエント・ブラウワー作「ニューヨーク州キャッツキル」とは

■アルバータス・デル・オリエント・ブラウワー作「ニューヨーク州キャッツキル」
- 制作年:1849年
- サイズ:86.3 × 111.8cm
- 油彩、キャンヴァス
この作品の題材となった「キャッツキル」は、アメリカ合衆国のペンシルベニア州~ニューヨーク州にまたがるアレゲニー高地の一部です。
「キャッツキル」という名称は、猫好きの私にとっては少々ドキッとする名称です。名前の由来まではわかりませんが、英語表記で「Catskill」ですから…

我が家のお転婆娘「マリンちゃん」を紹介させてください。
日中寝ていても、夕ご飯の時間になるとノッソリと起き上がり催促してきます。どんな体内時計になっているのか不思議です。わがままなところもありますが、それも可愛いんですよね~
この作品(「ニューヨーク州キャッツキル」)は、非常に清々しい印象を受けるのどかな風景が描かれています。
作品の半分以上を占めるのは空です。しかし、風に流されているように描かれた雲が、明るさを保ちつつも単調さを感じさせません。画面の下半分は土と水の対比になり、相反するもので全体のバランスが取れています。
水面に帆を張って浮かぶ船があることでアクセントとなり、作品が退屈にならずに済んでいます。
木々の緑は描かれていますが、鬱蒼と生い茂っている感じはしません。土の色と相まって、少々乾いた印象を受けますね。
画面右側の乾いた土の道は、ほとんど幅を変えずに奥へと続きます。観者の視線が釣り竿を担いだ人物を越えて奥にある木々へと誘導されます。さらに人物は正面を向かず、向かって左側に行こうとしていることにより物語性が生まれることに。担いでいるのは釣り竿ですね。おそらくは左下に描かれたボートに乗って、釣りをするつもりなのでしょう。
勝手な想像ですが、「とある休日の一コマ」なのかもしれません。生活の糧を得るために、魚釣りをするようには見えませんから。
現代のキャッツキルがどのようになっているかはわかりませんが、道路はコンクリートで舗装されているかもしれませんね。そうだとすると、キャッツキルの歴史を感じさせる貴重な一枚にも見えてきます。
アルバータス・デル・オリエント・ブラウワーとは

19世紀のアメリカ人画家アルバータス・デル・オリエント・ブラウワーについては、『すぐわかる!アルバータス・デル・オリエント・ブラウワーとは』をご参照ください。

わたなびはじめの感想:アルバータス・デル・オリエント・ブラウワー「ニューヨーク州キャッツキル」について

この作品のような明るい印象を与えてくれる絵画は、是非とも家に飾りたい一枚です。明るくて爽やか、そんなのどかな風景を観ていると、心が和みますよね。
中央付近に描かれている木々の葉が細かく描かれていますね。それでいて雲には厚みを感じません。
こういった要素も爽やかな印象につながっているのかもしれません。入道雲のようなモクモクで立体的な雲だと、爽やかな印象とは違ってくるように思うからです。
この絵のキャッツキルような田舎に、都会住まいに慣れた人が実際に住んだとしたら、半月ほどで退屈になるかもしれません。
しかし、私のようにストレスを抱えやすいタイプの人間には、心のオアシスになりそうな気がします。じっくりと読書したり、絵にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。魚釣りを楽しんだり、友人を呼んでキャンプしたりもできたりして…
すみません。妄想が止まらなくなりそうです。
このような想いを感じさせてくれる「ニューヨーク州キャッツキル」は、心の安らぎを求める私にとって、明るさを届けてくれるステキな作品です。
わたなび流の感想で終わります。
アルバータス・デル・オリエント・ブラウワーの描いた「ニューヨーク州キャッツキル」は、「自宅で鑑賞したい(欲しいと思える)作品」です。
東京都美術館「ニューヨークを生きたアーティストたち」展とは

1994年(平成6年)4月15日~6月12日の期間、東京都美術館にて「ニューヨークを生きたアーティストたち」展は開催されました。
ニューヨークにゆかりのあるアーティストの作品(特に19世紀前半からおよそ150年間の作品)を鑑賞できる機会でした。作品ジャンルは、風景・風俗画や印象派、抽象表現派、ポップアートなどが網羅されていました。
東京は地方に比べて美術館も多く、絵画作品を鑑賞できるの機会が豊富だよね。
若かった僕にとっては、うれしい限りだったんだ。
美術館の多さは、上京して良かったことのひとつだよ。
■東京都美術館「ニューヨークを生きたアーティストたち」展
●主催
- 東京都・東京ルネッサンス推進委員会
- 東京都美術館
●後援
- 外務省
- 文化庁
- アメリカ大使館
- ニューヨーク市
- 東京フロンティア協会
- NHK
- 毎日新聞社
●協賛
- 安田火災
- 東京ガス
●協力
- 日本航空
- 小田急電鉄
- 銀座東急ホテル
- 東芝
まとめ
- 明るく清々しい印象を受ける風景画。
- 家に飾りたいと思ってしまう作品。