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当時、一番印象に残った作品!クロード・モネ作「アルジャントゥイユの散歩道」|ブリヂストン美術館「モネ展」より

モネ展_クロード・モネ作「アルジャントゥイユの散歩道」【アイキャッチ】
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1994年(平成6年)にブリヂストン美術館(現:アーティゾン美術館)で開催された「モネ展」で、当時、一番印象に残った作品がクロード・モネの描いた「アルジャントゥイユの散歩道」でした。

派手さのない普通っぽさが、心にスーッと入り込んだのかもしれません。

モネ展の図録をもとに、当時の回想や現在の心境に想いを馳せてみます。

クロード・モネ作「アルジャントゥイユの散歩道」とは

モネ展_クロード・モネ作「アルジャントゥイユの散歩道」
  • 制作年:1872年
  • サイズ:50.5 × 65.0cm
  • 油彩、キャンヴァス

アルジャントゥイユは、パリ(フランス)から10kmほど北西にあるコミューン(基礎自治体)です。その歴史は古く、7世紀に修道院が建設された頃にまで遡ります。

地図でみると、アルジャントゥイユとパリの間をセーヌ河が数字の「2」または「乙」の字のようにうねりながら流れています。アルジャントゥイユの周辺をGoogle Mapで眺めていたら、「クロード・モネ通り」という名の道を発見しました。

19世紀中頃にはパリとの間に鉄道が敷かれています。

アルジャントゥイユという都市名には「河のキラメキ」という意味があるそうです。印象派の画家が好みそうなネーミングですよね。実際、印象派の画家たちがアルジャントゥイユの風景を作品に遺しています。

クロード・モネは「アルジャントゥイユの散歩道」をセーヌ河の右岸からの眺めで描いています。画面手前側から奥に向かって河は流れています。

散歩道の先には尖塔を持った城のような建造物の存在が確認できます。城館の左右にも高い煙突のようなものが描かれていて、推測ですが工場なのか?と思ってしまいます。

河の流れは凪いでいて、帆を張ったヨットが浮かんでいます。ヨットの奥、つまり画面左側の木々は対岸なのかと思ったのですが、モネ展の図録の解説にはマラント島と記されていました。(Google Mapで確認しようと思ったのですが、見つけられませんでした。)

画面右手の木陰には、数人の人影が見えます。

木々の間から差し込んでいる日差しは、この作品のアクセントになっています。方向としては西から差し込んでいることになります。つまり、夕方に近い時間帯の景色だと推察できますね。

画面の大半を薄い雲の浮かぶ空が占めていて、作品に穏やかさを添えています。

「アルジャントゥイユの散歩道」からは印象派風のタッチは感じません。どちらかというと写実的な雰囲気に思えます。

いずれにしても若き日の私は、この作品に強い魅力を感じました。おそらくですが、作品全体から醸し出されるやさしい雰囲気に惹き付けられたのだと思います。それともうひとつ、風景画を好む傾向があったことも関係していると思っています。

クロード・モネとは

クロード・モネとは

クロード・モネについての紹介は『すぐわかる!クロード・モネとは|印象派を代表する画家の生涯』をご参照ください。

クロード・モネとは
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わたなびはじめの感想:クロード・モネ「アルジャントゥイユの散歩道」について

モネ展・図録モネ展・図録

ブリヂストン美術館(現:アーティゾン美術館)でモネ展が開催されてから26年程が経過した現在。

当時と同じ作品を集めた特別展が開催されたとしたら、私が最も心惹かれる作品は「アルジャントゥイユの散歩道」ではないような気がしています。それは「アルジャントゥイユの散歩道」の魅力が失われたというのではなく、私自身が他の作品にも昔とは違った興味を感じるようになったからです。

豪快なタッチや大胆な構図、強烈な色彩にも感性が対応できそうな気がしています。その逆も然りで、何を描いているのかわからないような作品にもある程度の順応は示せることでしょう。

とはいえ、「アルジャントゥイユの散歩道」に感じる魅力のひとつは、奇をてらっていないところだと思います。このような表現が適切かどうかはわかりませんが、どことなく素朴で、日常の中に幸せがあることを暗示しているような気がするのです。

私が中学生だった頃、美術の授業で「教室の窓から見える景色を水彩で描く」という時間がありました。教室の窓から見える景色といえば、校舎と体育館の屋根、それに空くらいのものでした。当時、中学校の美術の先生と私とでは、美術的にすばらしいと感じるポイントが違うと感じていました。当然、思ったような評価は得られませんでした。

ところが高校の美術の先生は全く違っていました。上述の課題と同じように「美術室の窓から見える風景を描いた」ことがありました。私の絵が上手いなんてことはないのですが、少なくとも自分のすばらしいと感じるポイントを評価してくださっていたと思っています。事実、評価も良かったですし。

結局、美術作品に対する感じ方は「人それぞれ」だということです。例えば、絵を描くといった技術面での上手い下手といった評価が存在するのは理解できます。しかし美術作品を観賞したときに感じる気持ちは別モノです。基本的には、人にどうこう言われることではないのです。

モネが「アルジャントゥイユの散歩道」でこのスポットを選んだことに対して、「なぜもっとヨットを大きく描かないの?」とか「殺風景すぎるな…」と感じる人もいらっしゃるでしょう。

それがいけないということではなくて、感じ方は十人十色、共感できる範囲にも違いが存在するというのが現実です。

若い頃の自分も、現在の私も「アルジャントゥイユの散歩道」には変わらぬ魅力を感じます。それと同時に、同じ人間でも感じ方や興味・関心は変化するものだと認識しています。

適切に言い表すことができないのですが、その(自分の内面の)変化がより味わい深いものになっていけたら、ステキな人生を歩めたと感じられるような気がします。

最後に、いつものわたなび流の感想で終わりたいと思います。
クロード・モネ作「アルジャントゥイユの散歩道」は、「自宅で鑑賞したい(欲しい)と思える作品」です。

若き日の想い出が重ねって、ふっと昔の記憶が蘇(よみがえ)るからです。

まとめ

モネ作「アルジャントゥイユの散歩道」
  1. 1994年のモネ展で私にとって一番印象に残った作品。
  2. 印象派的というより、写実的な作品。
  3. ドラマチックさはないけれど、のどかさと日常の小さな喜びを感じる作品。

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