15世紀、イタリア・ルネサンスの代表的な的画家は?
と問われたら、レオナルド・ダ・ヴィンチは外せないのではないでしょうか。
現在残っているレオナルド・ダ・ヴィンチの作品は15点ほどだというのに、これだけの存在感を持っているのですから驚きですよね。
いつの日か「最後の晩餐」を観たいという願望を持っている私ですが、U-NEXTのコンテンツに「レオナルド・ダ・ヴィンチ-よみがえる幻の名画-」という興味深いタイトルを発見!
レオナルド・ダ・ヴィンチへの高まる関心を抑えきれず、早速観ることに。この記事では「レオナルド・ダ・ヴィンチ-よみがえる幻の名画-」の感想をご紹介します。
■レオナルド・ダ・ヴィンチ-よみがえる幻の名画-
- 制作:BBC 2011年/BS朝日/BBCワールドワイドジャパン
- 視聴:見放題
- 配信:2021年4月11日 23:59まで
この記事内で紹介する画像は、本物ではない可能性があります。
ご了承ください。
レオナルド・ダ・ヴィンチ-よみがえる幻の名画-の感想

「レオナルド・ダ・ヴィンチ-よみがえる幻の名画-」は、2011年に行方不明だったダ・ヴィンチの作品が発見されたことから始まります。
番組進行役は、BBCプレゼンターのフィオナ・ブルース氏です。
行方不明だったのは、「サルバトール・ムンディ(救世主)」というイエス・キリストを描いた作品です。
レオナルド・ダ・ヴィンチが1500年頃に描いた作品です。「サルバトール・ムンディ(救世主)」からは、次のような印象を受けました。
- 瞳から力強さを感じる。
- ルネサンス期の宗教画の印象とは異なり、肖像画のように描いた感じがする。
- 描かれているのはイエス・キリストの上半身。右手はヒジを曲げた状態で前に出し、左手には水晶玉を持っている。
- なぜ水晶玉を持っているのか理解できなかった。
レオナルド・ダ・ヴィンチは「油絵は日が沈むころの光のもとで描くのが理想的」だという趣旨のことを言っていたようです。
伝記作家のチャールズ・ニコル氏は、番組内で次のような趣旨のことを語っています。
- レオナルド・ダ・ヴィンチは、ミステリアスで哲学的な芸術家である。
- 人生とは何か?生命とは何か?ということに真剣に向き合っていた。
- その答えを、作品を通じて美しく表現しようとした。
ダ・ヴィンチが鏡文字を書くことは知っていました。しかし、空を飛ぶ方法や天体観測、解剖学といった幅広い内容を、約13,000ページもノートに書き残していたことは知りませんでした。
「サルバトール・ムンディ(救世主)」に話を戻しますね。
番組ではダ・ヴィンチの作品を数点取り上げた後、終盤で再び「サルバトール・ムンディ(救世主)」の話に戻ります。
修復前の「サルバトール・ムンディ(救世主)」は、白黒のように見えました。
どうやらダ・ヴィンチの贋作とされていて、個人所有のコレクションに埋もれていたそうです。(1958年(昭和33年)には、約6,000円で売られたとか…)贋作だと思われていたのですから妥当な値段だったのでしょう。
しかし、現在の価値はビックリです!160億円(2011年時点)程だというのですから。
番組では「サルバトール・ムンディ(救世主)」がダ・ヴィンチの作品であるかどうかを判断するための調査についても紹介されました。X線や赤外線による調査が行なわれたようです。
赤外線の調査の際、「サルバトール・ムンディ(救世主)」の右手の親指が書き直されていることが判明しました。おもしろいと感じたのは、書き直しに対する判断でした。
書き直しの発見で、本物の可能性が出たというのです。どういうこと・・・?と、感じました。それは番組でご確認くださいね。
本物であるか否かの鑑定には、細かな特徴や絵の具の素材、この作品の歴史なども考慮されたようです。修復されている間、2年間以上その存在が秘密にされていました。
番組で採り上げられたレオナルド・ダ・ヴィンチの作品

「レオナルド・ダ・ヴィンチ-よみがえる幻の名画-」では、ダ・ヴィンチの生涯を辿りながら、次の作品を紹介しています。
学芸員、伝記作家、美術史家といった方々のコメントも興味深い内容で溢れていました。
- 「サルバトール・ムンディ」
- 「キリストの洗礼」:アンドレア・デル・ヴェロッキオ作、ダ・ヴィンチは一部を担当。
- 「東方三博士の礼拝」
- 「ジネヴラ・デ・ベンチの肖像」
- 「白貂(しろてん)を抱く貴婦人」
- 「最後の晩餐」
- 「岩窟の聖母」
- 「モナ・リザ」
ロンドンのナショナルギャラリーで修復されていた「岩窟の聖母」(1483年~1486年頃)にまつわる話をご紹介します。
修復は透明なコーティングを施してから行なわれていました。作品に直接触れていないので、いつでも修復前に戻せるというのですから驚きでした!
ナショナルギャラリーの学芸員ルーク・サイソン氏は、ダ・ヴィンチ以前の輪郭の描かれ方の違いを語っていました。ダ・ヴィンチはそれ以前とは違い輪郭をハッキリとは描きませんでした。
スフマート(イタリア語で「煙」の意)という手法だそうです。ダ・ヴィンチは輪郭をぼかし、光と陰によって表現することを好んだようです。
レオナルド・ダ・ヴィンチのこだわりというか、発想自体がスゴイですよね。
レオナルド・ダ・ヴィンチとは

レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯については、『すぐわかる!レオナルド・ダ・ヴィンチとは』をご参照ください。

わたなびの観たいレオナルド・ダ・ヴィンチの作品

私が実際に観たいと思う作品のひとつに「最後の晩餐」があります。「最後の晩餐」が描かれているのは、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂の壁です。
ところが、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた当時のまま残っているのは、約20%程度だそうです。
その理由は、レオナルド・ダ・ヴィンチの描いた方法が大きく関係しています。通常の壁画の場合、漆喰が乾ききる前に描くのだそうですが、レオナルド・ダ・ヴィンチの場合は漆喰が乾いたあとに油絵で描いたのです。そのため、完成後20~30年くらいから剥がれ始めているというのです。
それ以降は修復を繰り返すことに…
「最後の晩餐」にとっての最大の問題は湿気なのです。
そのためサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の「最後の晩餐」は、いくつもの扉によって湿気から守られています。
いつの日か、「最後の晩餐」の実物を観たいものです。
まとめ
- 2011年レオナルド・ダ・ヴィンチの作品が発見された!
- 番組ではダ・ヴィンチの作品にまつわる専門家の話を聞くことができる。
- 46分のドキュメンタリー番組で見応えあり!