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印象派誕生前のモネの絵画!クロード・モネ作「オンフルールの海岸」|ブリヂストン美術館「モネ展」より

モネ展_クロード・モネ作「オンフルールの海岸」【アイキャッチ】
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モネもこのような絵画を描いていたのか?と思わされた作品がありました。

それが「オンフルールの海岸」です。ある意味、画家モネの原点に近い作品なのかもしれません。

この「オンフルールの海岸」は、印象派と呼ばれるグループが形成される以前に描かれたモネの作品です。

1994年(平成6年)にブリヂストン美術館(現:アーティゾン美術館)で開催された「モネ展」の図録から回想してみます。

クロード・モネ作「オンフルールの海岸」とは

モネ展_クロード・モネ作「オンフルールの海岸」
  • 制作年:1864年
  • サイズ:60.0 × 81.0cm
  • 油彩、キャンヴァス

19世紀のフランス人画家ウジェーヌ=ルイ・ブーダンが、モネに屋外で絵を制作することを教えたのは知っていました。ブータンとモネの出会いは1857年(安政4年)のことでした。

しかし、ブータンの他にもモネに大きな影響を与えた画家がいたことは知りませんでした。彼の名はヨハン・バルトルト・ヨンキント。19世紀のオランダ人画家です。

ヨンキントとモネの出会いは、「オンフルールの海岸」が完成する2年ほど前の1862年(文久2年)頃だと考えられています。

モネは批評家ティエボー=シソンとの談話のなかで、ヨンキントについて話したことがありました。ヨンキントについてモネは、フランス語はたどたどしく性格は内気でありながら、率直で親切な人物といった内容を伝えています。

ヨンキントはモネとともに絵画制作を行なったり、自身の手法とその理由についてモネに教えたのでした。

図録から、モネが批評家ティエボー=シソンにヨンキントについて語った一部を紹介します。

「(…省略)そうして私がすでにブータンから教わっていたことを完成させた。その時以来彼は私の本当の師となったが、私の目を最終的に教育したのは彼なのである」

出典:『モネ展図録』深谷克典著 93ページ

オンフルールではヨンキントやブータン、モネら複数の画家たちが滞在・活動していました。印象派という存在が世に知られる数年前に、モネは二人の師によって光をとらえる目を鍛えていたと言えるでしょう。

あらためて「オンフルールの海岸」という作品を観てみましょう。この作品に描かれているのは、オンフルールとトルーヴィルの間に存在する海岸です。

空の青さや光の強さから、夏に描かれたことが伝わってきます。海岸とはいえ海よりも空の占める割合が多く、雲はあるものの良く晴れた日を印象付けています。紫外線(UV)が強く降り注いでいたことでしょう。

海岸線はゴツゴツした石が多く存在していて、日差しで焼けているのではないかと思われます。そんな中、一人立っている人物は何をしているのでしょうか? 鞄らしきものを肩に下げ、手には棒のようなものを持っているようで、コチラ側を向いています。釣り人?とも思いましたが、わからないので想像はこれくらいにしておきます。

海に目を移すと帆を張った船が複数浮かんでいます。海水は嵐の去った直後なのか砂が混じっているようで、茶色で表現されています。この波を表現する筆のタッチからは、すでに印象派の片鱗を感じますね。

このように晴れ渡った海岸の風景は、夏の想い出として心に深く残りそうです。

クロード・モネとは

クロード・モネとは

クロード・モネについての紹介は『すぐわかる!クロード・モネとは|印象派を代表する画家の生涯』をご参照ください。

クロード・モネとは
すぐわかる!クロード・モネとは|印象派を代表する画家の生涯印象派を代表する画家のひとりクロード・モネとはどのような画家だったのでしょうか?モネの生涯と代表作をわかりやすくご紹介します。...

わたなびはじめの感想:クロード・モネ「オンフルールの海岸」について

オンフルールの街並みオンフルールの街並み

1994年(平成6年)当時、私は画家が画風を変えていくことに今ひとつピンときていませんでした。美術の授業では、ピカソの「青の時代」といった言葉を聞いていた記憶があったので知識としては持っていたのでしょう。しかしそれ以上のものではありませんでした。

そのため、印象派の画家は「画家になった瞬間から印象派の描き方をしていた」みたいな認識を持っていたのです。モネが印象派の画家と呼ばれる以前に描かれた「オンフールの海岸」を観た際に、少し違和感やためらいを感じたのはそのためでした。

その後、画家が画風を変えることがあることを美術館での絵画鑑賞や好きな画家の個展等に行くことで普通に受け入れられるようになっていくのでした。

こういったことは画家だけのことではなく、ミュージシャンも似た感じですよね。初期作品と解散近くの作品を比べると、だいぶ雰囲気が変わったと感じることってありますもんね。

完成を目指して世に出した作品が、次なる発展へのキッカケになるということなのでしょう。

モネの「オンフールの海岸」について話しましょう。

オンフルールは、フランス・ノルマンディー地方にある港町で、セーヌ川の河口に位置しています。多くの画家に描かれた観光地です。

私は「オンフールの海岸」に描かれたような日差しの強い夏の風景は嫌いではありません。暑さには弱いのですが、眺めるのは好きです。

自分が若い頃に過ごした想い出の光景の中にも、このような日差しの強い夏の日がありました。モネ展で鑑賞したときはまだ若かったのでこの作品を観ても感傷的な気持ちにはなりませんでしたが、あらためて図録を観返すと想い出が重なります。それだけ歳をとったということなのでしょう。

最後に、いつものわたなび流の感想で終わりたいと思います。
クロード・モネの描いた「オンフールの海岸」は、「自宅で鑑賞したい(欲しい)と思える作品」です。

歳をとっても、想い出に残るようなステキな夏を過ごしたいものです。

まとめ

モネ作「オンフールの海岸」
  1. モネにはブータンの他にヨンキントという師匠がいた。
  2. 「オンフールの海岸」は印象派の画家モネが誕生する前の作品。
  3. オンフールにはブータンやヨンキントら画家が集まっていた時期があった。

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