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川面の色彩表現がすごい!クロード・モネ作「アトリエ舟」|国立西洋美術館「バーンズ・コレクション展」より

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1994年(平成6年)に国立西洋美術館で開催されたバーンズ・コレクション展は、25年以上経た現在でも私にとって印象的と思える展覧会でした。

モネをはじめとする印象派の作品に心奪われたのを思い出します。

今回はその図録をもとに、クロード・モネ作「アトリエ舟」の感想をご紹介します。

クロード・モネ作「アトリエ舟」とは

バーンズコレクション_クロード・モネ 「アトリエ舟」

■クロード・モネ作「アトリエ舟」

  • 制作年:1876年
  • サイズ:72.0 × 59.8cm
  • 油彩、カンヴァス

この作品は、モネがアルジャントゥイユに住んでいた時期に描かれた作品です。

アトリエ舟にはモデルがあったようで、バルビゾン派の画家ドービニーが使用していたボタン号を真似たとのこと。何とも優雅な雰囲気を感じます。

モネ自身も同じ年に現在クレラー=ミュラー美術館に所蔵の≪アトリエ舟≫を描き、さらに2年後に本作品を描いている。これらは2点ともアトリエ舟のなかで制作する自分自身を外から見たように、想像で描いているのが特徴的である。

出典:『バーンズ・コレクション展 図録』小勝禮子著 49ページ

おもしろいことに、この作品で船内にいるのはモネ自身だったのですね。

私のモネに対する認識が「観たモノを描く画家」だったので、少し意外に感じました。これは否定的な意味ではありませんよ。

この作品の魅力のひとつは川面の表現にあると思います。

優しい筆使いと色の重ね具合で、アトリエ舟が水に移っている様子を見事に描いている作品です。「川の水にこんな色も混じっているんだ!」といった驚きも感じました。

わたなびはじめ
わたなびはじめ
僕が描いたら、青系統と白しか使わないと思うな。
何てったってド素人ですから…

印象派の画家であるモネの目には、光を反射する川面の色彩がこのように写っていたのですね。

近づいて部分ごとに区切って観ると、一見雑な描き方にも見えなくはないのですが、作品として成立させているのですから驚きしかありません。

クロード・モネとは

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わたなびはじめの感想:クロード・モネ作「アトリエ舟」について

20200118_アーティゾン美術館「見えてくる光景展」【クロード・モネ:睡蓮の池】アーティゾン美術館「見えてくる光景展」【クロード・モネ:睡蓮の池】

バーンズ・コレクション展で印象派の魅力に目覚めた私は、その後、同じ年にブリヂストン美術館(現 アーティゾン美術館)で開催された「モネ展」にも足を運びました。

わたなびはじめ
わたなびはじめ
上図は2020年1月にアーティゾン美術館で開催された「見えてくる光景展」で撮影したものだよ。

絵画のすばらしさは写実性だけではないことを感じ、画家の表現力に対する関心が高まりました。

その意味で、印象派の作品は私の絵画観を一変させるほどのエネルギーを持っていたと言えます。

クロード・モネ作「アトリエ舟」は、決して明るい雰囲気とは言えないかもしれませんが、川面に波打つ水の表現が何とも表現しがたい豊かさを持っているように感じます。

舟の中でゆったりと揺られながら絵を描くなんて、なんとも風情があってすてきですよね。私なら船酔いしてしまうかもしれませんが、時間とお金にゆとりがあれば、このような時間を過ごしてみたいものです。

もしも私が舟で絵を描いたなら、自分の意図しない形で印象派の作品ように「ゆらぎ」を感じる作品になるかもしれません。(もちろん、船酔いで…)

最後に僭越ながら、いつものわたなび流の感想で締めようと思います。

クロード・モネ作「アトリエ舟」は、「とても魅力的で欲しいと思える作品ですが、明るい雰囲気の美術館で観たい絵」です。

いつの日かもう一度観たい作品がまたひとつ増えました。

まとめ

モネ「アトリエ舟」
  1. 舟に描かれているのはモネ自身。
  2. 水面の表現が美しい。
  3. ゆったりとした筆使いと絶妙な色彩が魅力的。

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