美術作品

列車よりも風景に関心?コリン・キャンベル・クーパー作「旧グランド・セントラル駅」|東京都美術館 「ニューヨークを生きたアーティストたち」展より

ニューヨークを生きたアーティストたち_コリン・キャンベル・クーパー「旧グランド・セントラル駅」

1994年(平成6年)に東京都美術館で開催された 「ニューヨークを生きたアーティストたち」展の図録から、コリン・キャンベル・クーパー作品「旧グランド・セントラル駅」をご紹介します。

18世紀にはじまった産業革命の波は、発祥の地イギリスを越えて世界に伝播し、人や物資の輸送を劇的に変化させていきました。

1906年に描かれた「旧グランド・セントラル駅」には、アメリカにおける産業革命の影響を感じることができます。人物の描写は少ないながらも、人々の生活が変化していく様子を感じとることができる作品です。

コリン・キャンベル・クーパー作「旧グランド・セントラル駅」とは

ニューヨークを生きたアーティストたち_コリン・キャンベル・クーパー「旧グランド・セントラル駅」

■コリン・キャンベル・クーパー作「旧グランド・セントラル駅」

  • 制作年:1906年
  • サイズ:61.0 × 81.9cm
  • 油彩、キャンヴァス

グランド・セントラル駅は、ニューヨーク市のマンハッタン区にあるターミナル駅です。アメリカの鉄道王コーネリアス・ヴァンダービルトによって建造されました。完成は1871年(明治4年)10月のことでした。

旧グランド・セントラル駅は、アメリカ南北戦争後の建築名所としての側面も持っていました。

1899年(明治32年)から1910年(明治43年)にかけて旧建造物は取り壊され、再建されます。この作品の列車車庫も1908年(明治41年)に取り壊されました。

「旧グランド・セントラル駅」は、取り壊しの2年前にコリン・キャンベル・クーパーにより描かれた風景画ということになります。

現在のグランド・セントラル駅は、1904年(明治37年)から1913年(大正2年)にかけて改修及び修復された3代目の建物です。

わたなびはじめ
わたなびはじめ
現在の日本でもJR山手線・原宿駅の改良工事がニュースになっていたよね。
趣のある駅舎なだけに、現在の姿を残して欲しいと思う方々の気持ちもわかる気がするな。

黙々と立ち上る煙(水蒸気)が背景の雲と一体化しているように感じます。空も地上も建物までも、似たような色彩感で描かれているため、境界線が曖昧なのでしょう。

殺風景なように思えますが、水蒸気が視覚的に表現されていることでで温かみを感じます。というよりは、現代よりものんびりとしていた時代が反映されているということなのかもしれません。

もしも空がもっと青色で描かれていたなら、清々しさと抜け感を感じて、解放感が作品を支配したかもしれません。でもコリン・キャンベル・クーパーは、そのようにはしませんでした。

ありのままを描いたのかもしれませんし、工業化が進んでいく社会に何がしかの警鐘を鳴らしていたのかもしれません。

コリン・キャンベル・クーパーとは

すぐわかる!コリン・キャンベル・クーパーとは

19~20世紀のアメリカで活躍した画家コリン・キャンベル・クーパーの生涯については、『すぐわかる!コリン・キャンベル・クーパーとは』をご参照ください。

すぐわかる!コリン・キャンベル・クーパーとは
すぐわかる!コリン・キャンベル・クーパーとは19~20世紀のアメリカで活躍した画家コリン・キャンベル・クーパーとは、どのような生涯を送ったのでしょうか?わかりやすくご紹介します。...

わたなびはじめの感想:コリン・キャンベル・クーパー「旧グランド・セントラル駅」について

ニューヨーク・グランド・セントラル駅現在のニューヨーク市グランド・セントラル駅の風景

古い記憶になりますが、コリン・キャンベル・クーパーの描いた「旧グランド・セントラル駅」を観た瞬間、「印象派の作品だ!」と思いました。当時の私はコリン・キャンベル・クーパーという画家のことを知らずに作品を鑑賞していました。

私の絵画に対する好みの幅は徐々に広がっていますが、特に「印象派」の作品からは大きな影響を受けています。そのため、非常にしっくりと受け入れることができたと記憶しています。

「旧グランド・セントラル駅」からは、鉄道の躍動感を感じます。もくもくと立ち上る蒸気の数々が、ターミナル駅を象徴しているようです。

個人的な感想ですが、コリン・キャンベル・クーパーは列車にはあまり興味がなかったのだと思います。

例えば、私がカメラを持参して、当時のグランド・セントラル駅を撮ろうとしたら、列車の斜め横からの姿を大きめに配置しようとしたと思います。発想が少し幼い気もしますが…

おそらく、コリン・キャンベル・クーパーの関心は近代的な建築物にまつわる風景だったのでしょう。

わたなびはじめ
わたなびはじめ
そういえば、我が子が幼かったとき、鉄道にはまっていた時期があったな。
電車に乗せても線路ばかり見つめていたのを覚えている。
プラレールで遊ぶときも、線路をどのように組み合わせて構築していくかを追求している感じだった。
列車というよりも、線路にも関心があったのだろうね。

「旧グランド・セントラル駅」の左下部には3人の男性が描かれています。作業員でしょうか。

現在も線路そばで作業する人を見かけることがありますが、もう少し安全に対する配慮がされていると思います。もしくは「旧グランド・セントラル駅」に描かれている3人のいる場所は、安全性が高かったのでしょうか?イヤイヤ、そんな風には見えませんよね。

何てことを想像したりしていますが、例によってわたなび流の感想をお伝えします。

コリン・キャンベル・クーパー作「旧グランド・セントラル駅」は「自宅に飾ってみたい(欲しいと思える)作品」です。

実際のところ、私の住まいには不相応な作品です。私は絵画を観る際に、自宅に飾りたいかどうかをひとつの基準にしているだけです。勘違いしないでくださいね。

立ち上る煙と雲の表現が、特に印象派的で美しい作品です。

まとめ

コリン・キャンベル・クーパー「旧グランド・セントラル駅」
  1. コリン・キャンベル・クーパーは摩天楼など近代的建築を描き高い評価を得た画家です。
  2. 「旧グランド・セントラル駅」からは印象派の香りを感じることができます。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA