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解放感を感じる風景画!フランチェスコ・グアルディ作「ヴェネツィアのピアツェッタの眺め」|東京都庭園美術館「プーシキン美術館所蔵 イタリア・バロック絵画展」より

プーシキン美術館 イタリア・バロック絵画展_フランチェスコ・グアルディ「ヴェネツィアのピアツェッタの眺め」
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1997年(平成9年)、東京都庭園美術館「プーシキン美術館蔵 イタリア・バロック絵画展」で鑑賞したフランチェスコ・グアルディ作「ヴェネツィアのピアツェッタの眺め」。

画面の中央部分が空で占められているため、解放感を感じる風景画です。

図録を基にこの作品の魅力を回想してみます。

フランチェスコ・グアルディ作「ヴェネツィアのピアツェッタの眺め」とは

プーシキン美術館 イタリア・バロック絵画展 フランチェスコ・グアルディ「ヴェネツィアのピアツェッタの眺め」

■フランチェスコ・グアルディ作「ヴェネツィアのピアツェッタの眺め」

  • 制作年:1775年~1785年
  • サイズ:34.0 × 44.0cm
  • 油彩、カンヴァス

「ヴェネツィアのピアツェッタの眺め」は、フランチェスコ・グアルディが描いた18世紀のヴェネツィアの風景画です。描かれているのはサン・マルコ広場で、人々の姿も描き込まれています。

わたなびはじめ
わたなびはじめ
ピアツェッタとは、「小さい広場」のことだよ。

画面右端に描かれているのは鐘楼でしょう。その隣の建造物は旧図書館(国立マルチャーナ図書館)が、画面左端にはドゥカーレ宮殿が描かれています。画面中央には2本の円柱が並び、その間には海へと抜ける通りが望めます。海の向こうにはサン・ジョルジョ島が見えます。

画面全体は茶系の色が支配的で乾いた印象を受けますが、雲の左右には澄んだ青空が描かれているため、配色のバランスを取っているように感じられます。解放感も感じられますね。

とはいえ、青空と広場の間に漂う空気も茶色がかっています。もしかすると経年劣化か汚れの可能性も否定できませんね。しかしその影響で目に見えないはずの空気の存在が感じられ、作品を特徴づけています。

両サイドに建造物が配置されることで圧迫感を与えかねないシチュエーションではありますが、画面中央から上部にかけて空が描かれていることで回避されています。ダイナミックな構図だと言えるのではないでしょうか。

画面の中央付近に向かって目に見えない収束点が置かれていることで広場が放射状(三角形のイメージ)になり、作品の奥行きが感じられ、視線が手前から奥へと誘導されます。

一瞬を切り取った写真(静止画)のようでありながら、観る側の視線が動くことで作品に躍動感が生まれている感じがします。

フランチェスコ・グアルディは収束点を中央よりやや左に寄せることで、安定感よりも観る者に意外性を感じさせたかったのかもしれません。

広場の建造物や円柱の配置は左右対称(シンメトリー)とまでは言えませんが、一定の規則感は感じられリズムが生み出されています。

描き込まれている人物の描写が非常に丁寧な点は印象的です。人々はそれぞれの時間を過ごしているかのようで、作品に物語性を与えています。

「ヴェネツィアのピアツェッタの眺め」は、作品全体の印象から解放感と落ち着きを感じるすばらしい風景画だと思います。

フランチェスコ・グアルディとは

すぐわかる!フランチェスコ・グアルディとは

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わたなびはじめの感想:フランチェスコ・グアルディ「ヴェネツィアのピアツェッタの眺め」について

イタリア・ヴェネツィア【サン・マルコ広場】イタリア・ヴェネツィア【サン・マルコ広場】

「ヴェネツィアのピアツェッタの眺め」をパッと見た瞬間には、海岸付近の景色とは思えませんでした。タイトルからヴェネツィアだと認識でき、徐々にサン・マルコ広場だと納得できるといった段階を踏むのです。

わたなびはじめ
わたなびはじめ
そんなことない!
パッと見でわかるよ!という方もいるかもね?

フランチェスコ・グアルディは、おそらく正確に建物などを配置し描き上げたのだろうと思います。まさに手書きの写真のようです。風景画というよりも景観図の要素の方が強い気がします。

私個人の感想ですが、青空が広がっているにも関わらずどこか寂しさを感じる作品です。茶色っぽい色調の影響でしょうか。フランチェスコ・グアルディが「ヴェネツィアのピアツェッタの眺め」を描いて200年以上の年月を経た現在の私たちにとっては、逆にノスタルジーを感じられていいのも知れません。

最後に、いつものわたなび流の感想で終わります。

フランチェスコ・グアルディの描いた「ヴェネツィアのピアツェッタの眺め」は、「美術館で鑑賞したい(欲しいとまでは思わない)作品」です。

作品の価値を低く評価したわけではなく、自分の住まいに飾るならもう少し明るいサン・マルコ広場の風景の方がいいかなと思っただけです。

まとめ

グアルディ「ヴェネツイアのピアツエッタの眺め」
  1. 「ヴェネツィアのピアツェッタの眺め」はサン・マルコ広場を描いた風景画。
  2. シンプルだけれど、解放感がある美しい作品。
  3. ノスタルジーを感じる作品。

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