美術作品 PR

心をグッと掴まれた!アンリ・マティス作 「音楽のレッスン」|国立西洋美術館「バーンズ・コレクション展」より

224_バーンズコレクション_アンリ・マティス「音楽のレッスン」【アイキャッチ】
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

1994年(平成6年)に国立西洋美術館で開催された「バーンズ・コレクション展」。私の絵画鑑賞&美術館探訪のキッカケとなった展覧会でした。

その図録からアンリ・マティス作 「音楽のレッスン」の感想をご紹介します。

マティスの単純化された描写と多彩な色使いは、私の心をグッと掴んで放しませんでした。

アンリ・マティス作「音楽のレッスン」とは

バーンズコレクション_アンリ・マティス「音楽のレッスン」

■アンリ・マティス作「音楽のレッスン」

  • 制作年:1917年
  • サイズ:244.7 × 200.7cm
  • 油彩、カンヴァス

この作品に描かれているのはマティスの家族です。舞台となっているのはパリ郊外のイッシー・レ・ムリノーの家。

時代背景としては、1914年(大正3年)から始まった第一次世界大戦中ということになります。作品が描かれたのは、第一次世界大戦終結(1918年)の前年です。

この作品にはマティス自身は描かれていません。

左側に座っているのが長男です。スーツ姿でタバコをくわえ、本を手にしていますね。この時期、戦争に行くことが決まっていたようです。

ピアノを弾いているのは長女と次男です。

ピアノにはハイドンの譜面と、ヴァイオリンが置かれています。ヴァイオリンはマティスの持ち物です。

ヴァイオリンは、何となく使用されて間もない印象を受けませんか?

タイトルが「音楽のレッスン」でもあることから、マティス家は芸術一家だったのかもしれませんね。

中央(屋外)でイスに座っているのがマティスの奥様のようです。寂しそうにも見えますが、手にしているのは刺繍でしょうか?

そうであるならば、明るい日差しの中、ご自身の趣味に没頭しているのでしょう。

窓の下に設置されているのは、スチーム製の暖房器具でしょうか?

わたなびはじめ
わたなびはじめ
僕の場合、中学校の途中まで、冬の教室は石炭ストーブで暖を取っていたな。
当番で石炭を教室まで運ぶのが辛かった…
一斗缶を運ぶために付けられた太い針金のような取っ手が、指に食い込んで痛かったんだよね。
その後は石油ストーブになり、高校に入ると教室の窓側の壁(下部)に温水暖房器具が設置されていた。
学生服を着ていたころを思い出したよ。

当時のフランスの情勢について詳しいことはわかりませんが、この絵画に描かれた時間は普段と変わらない日常の光景に見えます。

作品には奥行きがあり、温かみを感じるタッチで描かれています。

「ピアノの赤とスーツのグレー」や「屋外の緑と額縁の絵の冷たい青」といった対比は、決して華々しくはありませんが、部屋の中が外よりも明るい印象で描かれているため、暗い雰囲気にならないのだと思います。

床やスーツ、スチーム、ピアノに置かれた楽譜の周辺は、明るくみえますよね。

アンリ・マティスとは

すぐわかる!アンリ・マティスとは

フォーヴィスム(野獣派)の中核的存在だったフランスの画家アンリ・マティスの生涯については、『すぐわかる!アンリ・マティスとは』をご参照ください。

すぐわかる!アンリ・マティスとは
すぐわかる!アンリ・マティスとは20世紀を代表するフランスの画家のひとり、アンリ・マティス。アンリ・マティスは、フォーヴィスム(野獣派)の中核的存在でした。「色彩の魔術師」とも呼ばれたマティスは、どのような生涯を送ったのでしょうか?わかりやすくご紹介します。...

わたなびはじめの感想:マティス作「音楽のレッスン」について

音楽のレッスン風景音楽のレッスン風景(イメージ)

アンリ・マティス作「音楽のレッスン」は、非常にモダンな作品だと思いました。

バーンズ・コレクション展は、私にとって初めての本格的な絵画鑑賞体験の場であったこともあり、様々な感情が芽生えたのを記憶しています。

当時はまだ、レンブラント作品のような写実性に魅力を感じるだけでしたが、徐々に印象派やフォーヴィスムの影響を受けて絵画に対する興味関心が広がっていくことに。まさに絵画の魅力に目覚める最初の段階だったと言えます。

それゆえに、マティスの「音楽のレッスン」は衝撃的でした。作品の描かれた背景などは知らずに観ていましたが、そのモダンさに魅了されてしまいました。

上手く表現できませんが、「こんな作品もありなのか…?」と感じた記憶があります。幸いなことに「なんだこれッ!」とは思いませんでした。

当時は「絵画のすばらしさは写実性にある」と考えていたため、忠実に描写されているかどうかといった上手・下手でしか判断できなかったわけです。

20代前半の私にとって、マティスの「音楽のレッスン」は、自分の絵画観に対してアンチテーゼを突き付けられたかのような作品でした。

当時の私の絵画観では「理解はできなかったけれど、なぜか否定できない魅力を感じ取っていた」のです。25年以上も前の出来事を、おぼろげながらも思い出せるというのはうれしいことです。

そのような出会いをいただけたことを感謝ぜずにはいられません。

最後に、あらためて現在のわたなびはじめの感想を述べさせていただきます。おこがましいことを承知の上で、書かせていただきますね。

アンリ・マティスの描いた「音楽のレッスン」は、「是非、自宅に飾りたい(欲しい)と思う作品」です。

やわらかなタッチと鮮やかな色遣いで描かれた魅力的な作品なので、いつの日か再びお目にかかりたい作品です。

わたなびはじめ
わたなびはじめ
すばらしい!

アメリカ・フィラデルフィアのバーンズ財団美術館に行けば観ることができるのかな?

まずは、新型コロナウィルスの早期収束を願うばかりです。

まとめ

アンリ・マティス「音楽のレッスン」
  1. マティスの「音楽のレッスン」はモダンでステキな作品。
  2. 描かれているのはマティスの家族。
  3. 描かれた時代は第一次世界大戦時中。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA