美術作品

茶目っ気に心が和む!ニコル・ランクレ作「いたずら」|伊勢丹美術館「アイルランド国立美術館名品展」より

アイルランド国立美術館名品展 ニコル・ランクレ「いたずら」

微笑ましい絵画って心が和みますよね。

ニコル・ランクレ作「いたずら」は、まさにそのような作品です。
幼い子供がいたずらする一瞬を、表情まで生き生きと描ききっています。

私が若い頃、美術館で実際に目にしたときよりも、歳をとった現在の方が感慨深い作品になっている気がします。

1994年(平成6年)に伊勢丹美術館で開催された「アイルランド国立美術館名品展」の図録をもとに振り返ってみました。

  • 制作年:1735年頃
  • サイズ:36 × 29cm
  • 油彩、カンヴァス

ニコル・ランクレ作「いたずら」とは

アイルランド国立美術館名品展 ニコル・ランクレ「いたずら」

椅子に腰かける少女といたずらをする少年の微笑ましい光景です。

こういった作品は美術ジャンル的には「フェート・ギャラント」に分類されます。

一般的に「フェート・ギャラント」で扱われるのは、恋を知る年齢の男女が戯れる様子(屋外での宴など)ですが、ニコル・ランクレはそれよりも幼い少年・少女を「いたずら」に描き込んでいます。

さらに室内といういわば狭い空間での1コマというのも興味深いです。
一組の少年少女にスポットを当て、背景を薄暗く描くことで、人物が浮き上がっているかのようです。

椅子に腰かけながら読書している最中に眠りに落ちた少女。
膝の上の本は読んでいたページが開かれたままです。
少女の衣装は白いシャツと明るいベージュのスカートですが、その上の赤色の胴囲と落ち着いた青色の前掛けが美しさを引き立てています。
髪に付けられたリボンの青色は前掛けと同じ色のようです。
髪飾りのピンク色のバラが、少し大人っぽさを演出している感じがします。

これらの総合的な印象から、おとなしめな性格の少女ではないかと推測しました。

それに対して、いたずらを仕掛ける少年は茶目っ気たっぷりの表情をしています。
片膝をついて右手を少女の後方にまわし、左手には紙を筒状に丸めた吹屋のようなものを持っています。
一方は口に、反対側は焦げているようなので煙を吹きかけているのでしょう。
髪型も家柄の良さを感じさせます。

ニコル・ランクレが描いた「いたずら」の、次に起こるであろう場面を想像してみました。

眠っている少女は煙で目を覚まし、ハッとします。
そして横にいる少年をのにやけた顔を見て、いたずらをされたことを悟ります。
イヤなそぶりはすれども、怒ることはなさそうです。

この二人が兄妹(姉弟)なのか、幼なじみなのかはわかりませんが、少年は少女が怒らないことを知っていていたずらに及んでいる感じがします。
たとえ怒ったとしても、意に介さずといった関係性が築かれているのでしょう。

ニコル・ランクレの描いた「いたずら」は、少年の表情に惹き付けられる微笑ましい作品です。

ニコル・ランクレ(二コラ・ランクレ)とは

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わたなびはじめの感想・ニコル・ランクレ作「いたずら」

子供がいたずらに火を使うというのは危険ですよね。
しかも「煙攻め」という発想がスゴイ!

私が幼かった頃のいたずらといえば、いたずらの認識はありませんでしたが結果として親に叱られた「いたずら書き」とか、「ワッ!」と驚かすとか、その程度だったと思います。

あっ、そういえば「ブーブークッション」というのも流行りましたね。

でも、ニコル・ランクレによって描かれているような女子に対する「いたずら」は経験がないと思います。

高校の修学旅行のバスでの移動中、眠っていた友人(男子)に、女子がいたずらしたのは覚えています。

久しぶりに思い出しました。
懐かしいですね。
それもそのはず、あれからもう30年です。

ニコル・ランクレの描いた二人の子供は、どちらも顔に生気を感じます。
肌の描き方がすばらしいです。
二人の頬からは温かみを感じますし、少年だけでなく眠っている少女もイキイキしています。

絵の構成も視線を釘付けにする工夫がされていています。

  • 暗い背景に浮かび上がる人物。
  • 衣装を含めた色の明暗の対比。
  • 縦方向の中心線が二人の中間に位置している配置。

ニコル・ランクレの「いたずら」は、美しさを併せ持った可愛らしさが絶妙です。

最後に、いつものわたなび流の感想で終わりたいと思います。

ニコル・ランクレの油彩画「いたずら」は、「自宅で鑑賞したい(欲しい)と思える作品」です。
観るだけで心がほぐれ、和みそうです。

まとめ

ニコル・ランクレ作「いたずら」
  1. ニコル・ランクレはフェート・ギャラント(雅宴画)を描いた画家。
  2. 「いたずら」は少年と少女の可愛らしいひとコマを表現している。
  3. 眠っている子に煙を吹き付けるというのは、ちょっぴり危険ないたずら。

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