美術作品

まるでプロマイド!パーオロ・ヴェロネーゼ作「男の肖像」|東武美術館「ハンガリー国立ブダペスト美術館所蔵 ルネサンスの絵画」より

ルネサンスの絵画 パーオロ・ヴェロネーゼ「男の肖像」

まるでプロマイド写真のような肖像画。

それがパーオロ・ヴェロネーゼの描いた「男の肖像」です。

7月に入ってからご紹介してきた「ルネサンスの絵画」の他の肖像画とは雰囲気が違いますよね。
ルネサンス後期を代表する画家の作品を楽しんでみましょう。

1994年(平成6年)に東武美術館で開催された「ハンガリー国立ブダペスト美術館所蔵 ルネサンスの絵画」の図録をもとに考察してみました。

  • 制作年:1560年頃
  • サイズ:120.0 × 102.0cm
  • 油彩、カンヴァス

パーオロ・ヴェロネーゼ作「男の肖像」

ルネサンスの絵画 パーオロ・ヴェロネーゼ「男の肖像」

パーオロ・ヴェロネーゼの「男の肖像」に描かれている男性が誰なのかはわかりません。

個人的な感想をお伝えすると、「外国人の友達に似ている!」と思ってしまいました。
しかしこの友人とは、1994年(平成6年)に東武美術館でこの作品を観賞した時点ではまだ出会っていませんでした。
図録を観直して、そのように感じたのでした。

パーオロ・ヴェロネーゼは多くの作品を遺していますが、肖像画は少ないようです。

「男の肖像」に描かれている男性は、リラックスした自然な表情をしていて、右手の拳を台のようなモノにのせています。
腰にあてがわれた左手には手袋をしています。

何よりも暗く閉塞感を感じない背景が印象的です。
画面左側が大きく解放されていることで、明るい印象を受けます。

それでいて、男性への注目度が低下することはありません。
これだけゴージャスな衣装を身に纏(まと)っているのですから…。

男性は黒が大半を占める衣装を身に付けてはいますが、頭部の背景が暗いことで表情がより引き立てられています。

何の毛皮かはわかりませんが、ベージュに斑点のある毛皮部分が男性のシルエットを認識しやすくしていますね。

ルネサンス期の巨匠であるヴェロネーゼが描いた「男の肖像」からは、現代のプロマイド写真のような印象を受けます。

パーオロ・ヴェロネーゼとは

イタリア・ヴェローナイタリア・ヴェローナ

パーオロ・ヴェロネーゼ(パオロ・ヴェロネーゼ)の本名は「パーオロ・カリアーリ」です。

本名はカリアーリですが、ヴェローナが出身であることから「ヴェロネーゼ」と呼ばれるようになったようです。

パーオロ・ヴェロネーゼは、ティツィアーノ・ヴェチェッリオやティントレットと並びイタリア・ルネサンス後期ヴェネツィア派を代表する画家です。

1528年(大永8年・享禄元年)、ヴェローナ(イタリア)で誕生しました。
父親は石工を生業としていました。

10代半ばには、同郷ヴェローナの画家アントーニオ・バディーレの弟子になっています。

絵画制作におけるパーオロ・ヴェロネーゼの技量は非常に優れていたようです。
数年でバディーレの工房で学ぶことはなくなっていました。

ヴェロネーゼは、当時イタリア・パルマで主流となっていたマニエリスム様式も学んだようです。
パーオロ・ヴェロネーゼはマニエリスムをも吸収し、独自の作風を切り開きました。

1553年(天文22年)、パーオロ・ヴェロネーゼはヴェネツィアに移り住みます。
サン・フランチェスコ・デッラ・ヴィーニャ教会から依頼された絵画制作やヴェネツィア政府から依頼された庁舎の「十人委員会の間」のフレスコ装飾に取り組みました。

パーオロ・ヴェロネーゼは次の業績により、ヴェネツィア絵画界における巨匠の評価を高めました。

  • サン・セバスティアーノ教会:天井画「エステルの生涯」
  • ドゥカーレ宮殿:天井画
  • マルキアナ図書館(聖マルコ国立図書館):天井画

パーオロ・ヴェロネーゼは多くの作品を遺していますが、次にご紹介する作品は彼の代表作と言えると思います。

1562年(永禄5年)、パーオロ・ヴェロネーゼはサン・ジョルジョ・マッジョーレ修道院(ヴェネツィア サン・マルク島)の依頼で食堂に「カナの婚礼」(現在 ルーヴル美術館所蔵)を制作します。
「カナの婚礼」はアンドレーア・パッラーディオとの共作で、1563年(永禄6年)に完成しました。

1573年(元亀4年・天正元年)、パーオロ・ヴェロネーゼはサンティ・ジョヴァンニ・エ・パオロ教会(ヴェネツィア)の食堂に「レヴィ家の饗宴」を描いています。
この作品の主題となっているのは「最後の晩餐」です。

パーオロ・ヴェロネーゼは伝統を重視するというよりも、鮮やかな色彩と劇的な表現力に富んだ華麗な作風を特徴とする画家でした。

パーオロ・ヴェロネーゼは、1588年(天正16年)4月19日に亡くなりました。

わたなびはじめの感想・パーオロ・ヴェロネーゼ「男の肖像」

イタリア・ヴェネツィアイタリア・ヴェネツィア

上述したように「男の肖像」を図録で再確認したとき、ニュージーランドの友人のことを思い出しました。
しばらく連絡を取っていませんが、久しぶりに懐かしい想いに打たれました。

それにしてもパーオロ・ヴェロネーゼの描いた「男の肖像」は、ここ数日ご紹介してきたルネサンス期の他の肖像画とは趣きを異にしています。

ナチュラルな表情と画面左部分の開け放たれた屋外の空間がそのように感じさせるのでしょう。

男性の顔の肌にはハリ・ツヤが感じられ、活力に満ちている印象を受けます。

16世紀のイタリアでは髭は一般的だったのでしょう。
しかし私の個人的感覚では、この男性は髭を生やすには若い気がします。
似合わないとは言いませんが…。

最後に、いつものわたなび流の感想で終わりたいと思います。
パーオロ・ヴェロネーゼ作「男の肖像」は、「美術館で鑑賞したい作品」です。

自宅に飾った光景を思い浮かべると、違和感を感じてしまうので。

まとめ

パーオロ・ヴェロネーゼ「男の肖像」
  1. パーオロ・ヴェロネーゼはルネサンス期を代表する画家の一人。
  2. 「男の肖像」に描かれた男性の詳細は不明。
  3. 「男の肖像」は、重苦しさを感じない肖像画。

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