2011年(平成23年)に国立西洋美術館で開催された「レンブラント 光の探求|闇の誘惑」展。
私は以前に【なびさんぽ】でご紹介した「羊飼の礼拝」を再び目にしていました。
美術の分野でも研究は進んでいます。このときすでに「羊飼いの礼拝」はレンブラントの作品とはなみなされていませんでした。レンブラントの弟子が描いたと結論付けられていたのです。
問題は【なびさんぽ】で「羊飼いの礼拝」を紹介した時期にあります。レンブラントの弟子の作品だと知ったはずのときから約10年後に、レンブラント本人の作品だと紹介してしまいました。
誤った情報を発信してしまい、誠に申し訳ございませんでした。
※【なびさんぽ】において、作者を間違えて紹介したことをお詫びいたします。
■間違えて紹介した記事 ↓ ↓ ↓
『厳かな救い主の誕生シーン!レンブラント・ファン・レイン作「羊飼の礼拝」|国立西洋美術館館「レンブラントとレンブラント派-聖書、神話、物語」展より』
レンブラント・ファン・レインの弟子作「羊飼いの礼拝」とは

■レンブラント・ファン・レインの弟子作「羊飼いの礼拝」
- 制作年:1646年
- サイズ:65.5 × 55.0cm
- 油彩、カンヴァス
国立西洋美術館で開催された「レンブラント 光の探求|闇の誘惑」展の図録によると、「羊飼いの礼拝」はレンブラントが1632年(寛永9年)頃から制作していたイエス・キリストの受難を題材とした連作のひとつとのこと。キリストの受難を描いたこのシリーズは7点からなる連作で、ミュンヘンに6点現存しています。
今回、再度ご紹介しているナショナル・ギャラリー(ロンドン)所蔵の「羊飼いの礼拝」は、ミュンヘンにある「羊飼いの礼拝」の異作です。サイズは小さく、構図も反転しています。
この作品がレンブラント工房の作品ではないかと考えている研究者がいることも言及していた!
白黒だけれど、ミュンヘンの「羊飼の礼拝」も参考資料的に掲載されている...
ミュンヘンにあるレンブラントの描いた「羊飼いの礼拝」の実物も観たいなぁ~
ナショナル・ギャラリー(ロンドン)所蔵の「羊飼いの礼拝」をレンブラントの弟子による作品だと判断したのは、レンブラント・リサーチ・プロジェクトです。
レンブラント・リサーチ・プロジェクト(RRP)は1968年(昭和43年)に美術史家らによって結成されました。
レンブラント作品の真贋を見極めるために本格的な調査を行っています。
レンブラント工房の弟子が、師であるレンブラントの作品を模倣することで技法を学び、腕を磨いたのでしょう。その過程で誕生したのがナショナル・ギャラリー(ロンドン)所蔵の「羊飼いの礼拝」なのかもしれません。
2003年(平成15年)に開催された「レンブラントとレンブラント派-聖書、神話、物語」展のときには、和訳の作品名に「い」が無くて「羊飼の礼拝」となっていました。同じ美術館で開催される美術展でも統一されていないのですね。もしかすると送り仮名の「い」を入れたことにも、何かの研究成果が反映されているのかもしれません。
わたなびはじめの感想:レンブラント・ファン・レインの弟子作「羊飼いの礼拝」について

「レンブラント 光の探求|闇の誘惑」展において、「羊飼いの礼拝」がどのように展示されていたのかは覚えていません。図録を観る限りカタログNo.25となっています。『Ⅰ「黒い版画」:レンブラントと黒の諧調』というブースに展示されていたようです。レンブラントの版画作品等と同じ空間で目にしたのでしょう。
美術館での鑑賞時、私は作者を意識していなかったと思われます。購入した図録でも作者の確認をせず、解説文も読んでいませんでした。
こうしたことが、研究が進んだことで覆った情報に気付かずに古い情報を発信してしまうことに繋がったのだと思います。
すみませんでした。
レンブラントの弟子が描いた作品だとはいえ、「羊飼いの礼拝」が私にとって素晴らしい作品であることは変わりません。誰の作品であろうと、私はこの「羊飼いの礼拝」という絵画が好きなのです。
図録だけでなく、ポストカードまで購入していたのですから。
もう1枚は「病人たちを癒すキリスト(百グルテン版画)」で、僕の大好きな作品のひとつ。
図録は買うけれど、絵葉書を購入するのは我ながら珍しいと思う。
よほど気に入っているという証拠かもしれないな。
レンブラント・ファン・レインの弟子作「羊飼いの礼拝」に対するわたなび流の感想は、「自宅に飾りたい(今でも本当に欲しいと思う)作品」です。
まとめ
- レンブラントの真筆だと思われていたが、レンブラント・リサーチ・プロジェクトにより弟子が制作したことが判明した。
- レンブラントは7点からなるキリスト受難連作を制作した。
- 馬小屋で生まれたイエス・キリストを、御使いのお告げにより知った羊飼いが礼拝する場面を描いた作品。