2020年(令和2年)1月にリニューアルオープンしたアーティゾン美術館 。
今回は、リニューアル後最初の特別展「見えてくる光景 コレクションの現在地」展から、佐伯祐三作「テラスの広告」をご紹介します。
カフェテラスの風景を描いたこの作品は、佐伯祐三が若くして亡くなる前年のもの。
「テラスの広告」は、モダンで温かみも感じる魅力的な作品です。
佐伯祐三作「テラスの広告」とは

■佐伯祐三作「テラスの広告」
- 制作年:1927年
- サイズ:54.2 × 65.4cm
- 油彩、キャンヴァス
「テラスの広告」は、佐伯祐三がフランスで活動中に描かれた作品です。佐伯祐三が亡くなる前年に制作されました。
カフェテラスに並ぶイスとテーブル。ちょっとした衝立(ついたて)越しに見える広告。
「広告」といっても、イラストは少なめの文字主体の案内なのでしょう。その内容を正確に描写するというよりは、「テラスの広告」という作品中のデザインの一部として描いている感じがします。
一般的にカフェテラスとは、歩道にテーブルやイスを並べる喫茶店のこと。ですから、佐伯祐三はカフェテラスの外側から描いたことになるのでしょう。
しかし「テラスの広告」は、建物の内側から描かれているようにも見えます。
これは私の勝手な印象ですが、広告は店内のガラスか壁に貼られているように見えるのです。緑の広告は脚が付いていることから、黒板に書かれているのかもしれません。だとすると、文字が白ではなく黒というのは不自然ですね。
さらに赤と白の広告は、向かいの店舗のようにも見えます。
フランス語を読めたなら、もっと正確なシチュエーションがわかるのかもしれませんね。
いずれにしても「テラスの広告」は、カラフルで明るい印象を受けます。白い壁、広告の赤と緑の組み合わせが目を引きます。それに加えて、全体から温かみを感じますよね。
明るい印象の作品は、佐伯祐三にしては珍しいのかもしれません。
佐伯祐三とは

20世紀の日本を代表する画家のひとり佐伯祐三の生涯については、『すぐわかる!佐伯祐三とは』をご参照ください。

わたなびはじめの感想:佐伯祐三「テラスの広告」について

最初に感想を述べさせていただくと、私はこの「テラスの広告」のような作品が大好きです。ステキにモダンで、存在感のある作品だと思います。
このように作品の存在感ごと好きになると、「店内で描いたか?」とか「外から描いたか?」といったことはどうでもよくなってしまいます。
いつものわたなび流の表現を使うと「自宅に飾りたいくらい欲しい!」作品ということです。もちろん実際の私の住まいは、「テラスの広告」を飾れるような雰囲気ではありませんが…
アーティゾン美術館の見えてくる光景 コレクションの現在地展で目にしたとき、直感的にステキな作品だと思いました。
撮影した画像で確認しても、やはり魅力的です。
「テラスの広告」は、30歳という若さで他界した夭折の画家・佐伯祐三の描いたすばらしい作品だと思います。
まとめ
- モダンな感じが魅力的な作品。
- 温かみを感じる作品。
- 佐伯祐三が描いた中では明るい作品といえるのではないか?