衣装の豪華さが印象的なヴァン・ダイク、アンソニー作「枢機卿ドン・フェルナンド親王」。
2002年(平成14年)、国立西洋美術館で開催された「スペイン王室コレクションの美と栄光 プラド美術館展」で鑑賞した作品です。
今回は図録をもとに回想してみました。
ヴァン・ダイク、アンソニー作「枢機卿ドン・フェルナンド親王」とは

- 制作年:1634年頃
- サイズ:107.0 × 106.0cm
- 油彩、カンヴァス
ヴァン・ダイク、アンソニー(英名)はフランドル・アントウェルペン出身の画家ですが、イングランドで騎士に叙せられた人物です。ヴァン・ダイクは英国王チャールズ1世の肖像画でも有名です。
「枢機卿ドン・フェルナンド親王」は、スペイン国王フェリペ4世の弟「フェルナンド・デ・アウストリア」のことです。生まれたのは1609年(慶長14年)、エル・エスコリアル(スペイン・マドリード州)です。
フェルナンド親王が枢機卿になったのは1619年(元和5年)。1633年(寛永10年)にはネーデルランド総督になっています。
「スペイン王室コレクションの美と栄光 プラド美術館展」の図録解説によると、ヴァン・ダイクが描いた「枢機卿ドン・フェルナンド親王」が右手に持っているのは由緒ある指揮棒のようです。
なんでも、カール5世がミュールベルクの戦いで勝利した際に用いられた指揮棒だとか。
赤色の豪華な衣装もネルトリンゲンで勝利しブリュッセル入城の際に着用していたものだとされています。
端正な顔立ちと豪華な衣装、斜めをむいた威厳あるポーズによって、十分にフェルナンド親王の存在感を表現している作品といえますね。
暗い背景に浮かび上がるような美しい肖像画だと思います。
ヴァン・ダイク、アンソニーとは

ヴァン・ダイクの生涯については、『すぐわかる!アンソニー・ヴァン・ダイクとは』をご参照ください。

わたなびはじめの感想:ヴァン・ダイク「枢機卿ドン・フェルナンド親王」について

2020年(令和2年)9月末に国立西洋美術館で開催されていた「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」に行ったことで、過去に国立西洋美術館で鑑賞した展覧会をあらためて思い出してみることに。
そこで約18年前、国立西洋美術館で開催された「スペイン王室コレクションの美と栄光 プラド美術館展」の図録を手に取ってみました。
今振り返っても名画ばかりで、もう一度観たい気持ちが高まるばかりです。
ヴァン・ダイクが描いた「枢機卿ドン・フェルナンド親王」の肖像画は、何と言っても赤色の衣装の豪華さが印象的です。黒い背景によく映える色彩で、衣服の襞(ひだ)の滑らかさまで伝わってきます。
このような肖像画を描く技能を持ったヴァン・ダイクという画家の技量に驚くばかりです。
最後に、いつものわたなび流の感想で終わります。
ヴァン・ダイク、アンソニー作「枢機卿ドン・フェルナンド親王」は、「美術館や宮殿などの落ち着きのある雰囲気の空間で鑑賞したい作品」です。
本当に豪華な肖像画ですね。
まとめ
- ヴァン・ダイクはフランドル・バロック期を代表する画家のひとり。
- イングランドで騎士に叙せられた。
- 「枢機卿ドン・フェルナンド親王」の衣類の表現がすばらしい。