屋外で遊ぶ子供たちの姿を描いた作品である「ローラースケートの子供たち」。
可愛らしく、微笑ましい光景に心が和みます。
1994年(平成6年)に東京都美術館にて開催された「ニューヨークを生きたアーティストたち」展の図録から紹介します。
数多くの作品が展示された特別展でしたが、人物を描いた作品も多数鑑賞することができました。その中でもウィリアム・グラッケンズ作「ローラースケートの子供たち」は、強く印象に残った魅力的な作品です。
今回はウィリアム・グラッケンズの描いた「ローラースケートの子供たち」の魅力に迫ってみたいと思います。
ウィリアム・グラッケンズ作「ローラースケートの子供たち」とは

■ウィリアム・グラッケンズ作「ローラースケートの子供たち」
- 制作年:1910年頃
- サイズ:61.0 × 45.7cm
- 油彩、キャンヴァス
「ローラースケートの子供たち」をパッと見た瞬間、「ルノワールの作品かな?」と感じました。
作品からは温かい印象を受けますが、子供たちの服装からは寒い季節だということが伝わってきます。
寒さに負けずに外で遊ぶ元気な子供たち。実際にそのような姿を目にした大人たち(作者を含む)は、自分の幼い頃を思い出していたかもしれませんね。なんだか想像するだけで心が和みそうです。
一説によるとローラースケートは、18世紀初めころのオランダには存在していたと言われています。「夏用のスケート」といった位置づけで認識されていたようです。
ウィリアム・グラッケンズが「ローラースケートの子供たち」を描いたのが、1910年(明治43年)頃。もしかすると作者自身もローラースケートを経験していてもおかしくはないですね。もっとも、絵画を描く芸術家が、外で元気いっぱいに遊ぶ子供時代を過ごしたかはわかりません。
作品に視線を戻すと、中央に描かれている少女は、上図とは言えないまでも颯爽(さっそう)と滑走しているのが伝わってきます。肩まで伸びた髪の毛が後ろになびいますね。寒さで頬も紅潮しているのでしょう。
まるで自分のローラースケートを楽しむ姿を、両親に見せたくて近づいてきたような場面です。少女の視線の先にご家族がいるとしたら、より温かみが増しますね。
青い帽子と黒い手袋が少し大人っぽさを感じさせることから、オシャレを意識する年頃であることが想像できますね。
青い帽子をかぶり微笑みながらローラースケートを楽しむ少女の背後には他の家族も描かれています。しかし、表情までは明確に表現されていないので、おのずと観者の視線は中央の微笑む少女に戻ってくることに。
この淡い表現により、作品全体のほんわかとした雰囲気が高められているように思います。カメラの焦点を手前に合わせることで、背景がぼやけるような効果に似ていますね。ウィリアム・グラッケンズがあえて施した工夫だったのかもしれません。
ウィリアム・グラッケンズとは

アメリカの画家・イラストレーターだったウィリアム・グラッケンズの生涯については、『すぐわかる!ウィリアム・グラッケンズとは』をご参照ください。

わたなびはじめの感想:ウィリアム・グラッケンズ作「ローラースケートの子供たち」について

寒さを感じさせず、心を和ませてくれる作品は、心理的にも落ち着かせてくれる気がします。少し殺風景な場所のようにも感じますが、オレンジ色っぽい背景が作品全体を和ませてくれています。建物というか列車の客車のようにも見えますね。
自分の子供時代を振り返ると、冬にミニスキーという遊び道具で楽しんでいたことを思い出します。プラスチック製で、冬用の長靴に固定して使用するものでした。ちょっとした雪山(子供の作れる小さいモノ)を滑り降りたりしていました。決して上手くはありませんでしたが、楽しく遊んでいた記憶があります。
「ローラースケートの子供たち」は観る人の心をほっこりとさせてくれる、とてもステキな作品だと思います。
最後に、いつものわたなび流の感想で終わります。
ウィリアム・グラッケンズ作「ローラースケートの子供たち」は、「自宅で鑑賞したい(欲しい)と思える作品」です。
このような温かみのある明るい雰囲気の絵画は、是非とも家に飾りたいという気持ちになります。特に冬に飾りたいですね。
まとめ
- 子供の遊ぶ姿にほっこりする作品。
- 寒い季節が描かれていると思うが、温かい印象を受ける作品。