クラシック音楽

ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第21番≪ワルトシュタイン≫」|ヴィルヘルム・ケンプ(ピアノ)

ケンプ:ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第21番ワルトシュタイン」

ベートーヴェン中期(1802~1814年頃)を代表する作品ひとつ、ピアノ・ソナタ「ワルトシュタイン」。

「熱情」ととに高い評価を得ている名曲です。

今回はピアニスト ヴィルヘルム・ケンプの演奏で、ベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ第21番≪ワルトシュタイン≫」を聴いた感想をお伝えします。

「ヴァルトシュタイン」とも呼ばれますが、ここでは「ワルトシュタイン」で統一します。

■ヴィルヘルム・ケンプ|ベートーヴェン ピアノ・ソナタ≪悲愴≫≪月光≫≪ワルトシュタイン≫≪熱情≫

  • ピアノ:ヴィルヘルム・ケンプ
  • ドイツ・グラモフォン
  • 発売元:ユニバーサル ミュージック株式会社【UCCG-3344】
  • 販売元:ビクターエンターテインメント株式会社

ベートーヴェン作曲「ピアノ・ソナタ第21番≪ワルトシュタイン≫」とは

ケンプ・ベートーヴェン4大ピアノソナタ集

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが「ピアノ・ソナタ第21番」を作曲したのは、1803(享和3年)年~1804(享和4年・文化元年)年にかけてのことでした。

ベートーヴェンは1802年(享和2年)に、難聴に対する苦悩や絶望感と音楽に対する情熱を「ハイリゲンシュタットの遺書」に書いていました。遺書と言っても「死にたい!」といった主旨ではありません。

とはいえ、聴力を失うことに対する不安は大きかったに違いありません。

この時期のベートーヴェンにとって幸いだったことは、セバスチャン・エラールが創業したピアノ・ブランドからピアノが贈られたことです。このピアノの音域は5オクターヴ半ということもあり、ベートーヴェンの創作意欲を増すことに貢献したと考えられます。

「ピアノ・ソナタ第21番」からは、聴力が失われていくベートーヴェンの不安は感じられない作品となっています。

「ワルトシュタイン」というのは、「ピアノ・ソナタ第21番」を献呈された人物の名前で、フェルディナンド・フォン・ワルトシュタイン伯爵のことです。

ワルトシュタイン伯爵はベートーヴェンのパトロンの一人であり友人でもあった人物で、ベートーヴェンに様々な援助をしていた方でした。

  1. ベートーヴェンがボンにいたとき、宮廷礼拝堂オルガニストになるために助力した。
  2. ベートーヴェンがハイドンに師事できるように推薦した。
  3. ②に関連して、ベートーヴェンがウィーンに行くことを後押しした。

ベートーヴェンには、よき理解者がいてくれたのですね。

ベートーヴェンが「ピアノ・ソナタ第21番」を作曲したほぼ同じ時期、彼の代表作が次々と世に送り出されます。

ともに、1804年(享和4年・文化元年)の作品です。

この後もベートーヴェンは数々の楽曲を作曲していくことになります。交響曲だけに限っても第9番まで作曲します。

ピアノ・ソナタに関しては番号が付された作品だけでも第32番まであるので、ワルトシュタイン以降も約20年間に渡り11曲作り続けます。

「ピアノ・ソナタ第21番≪ワルトシュタイン≫」の第2楽章の演奏時間は約3分と短いものですが、当初は違っていました。曲全体の印象が冗長になってしまうため、現在のように変更されました。

ベートーヴェンは変更前の第2楽章が気に入っていたようで、後に「アンダンテ・ファヴォリ」として別の独立した曲にしています。

わたなびはじめ
わたなびはじめ
「ファヴォリ」はフランス語で「お気に入りの」という意味だよ。
英語の「Favorite」と同じ感じかな?

ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第21番≪ワルトシュタイン≫」は、とても躍動的で雄大なピアノ・ソナタに仕上がっています。

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンとは

ベートーヴェン

ベートーヴェンについては『すぐわかる!ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンとは|その生涯と作品たち』をご参照ください。

ベートーヴェン
すぐわかる!ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンとは|その生涯と作品たちルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンは、多くの人に長年愛される作品を作曲しました。第九や運命といった交響曲、悲愴や月光などのピアノ・ソナタは有名です。この記事では、ベートーヴェンの生涯と作品たちに焦点を当ててご紹介します。...

ヴィルヘルム・ケンプとは

すぐわかる!(ピアニスト)ヴィルヘルム・ケンプとは

20世紀のドイツでピアニストとしてだけでなく作曲家や著作家、教育者としても活動したヴィルヘルム・ケンプの生涯については、『すぐわかる!(ピアニスト)ヴィルヘルム・ケンプとは』をご参照ください。

すぐわかる!(ピアニスト)ヴィルヘルム・ケンプとは
すぐわかる!(ピアニスト)ヴィルヘルム・ケンプとは20世紀に活躍したドイツのピアニスト、ヴィルヘルム・ケンプ。ケンプはピアニストとしてだけでなく作曲家や著作家、教育者としても活動しました。ケンプはどのような生涯を送ったのでしょうか?わかりやすくご紹介します。...

わたなびはじめの感想:ベートーヴェン作曲「ピアノ・ソナタ第21番≪ワルトシュタイン≫」by ケンプについて

ケンプ・ベートーヴェン4大ピアノソナタ集

ヴィルヘルム・ケンプの演奏する「ピアノ・ソナタ第21番≪ワルトシュタイン≫」の感想を、楽章ごとにお伝えしますね。
【 】は今回聴いたCDの演奏時間です。

■第1楽章【10分55秒】

「タテノリ・ビート」的なリズムを刻むオープニング(第1主題)から、しっとりかつゆったりとした表情(第2主題)に変化します。美しく弾けるような高音、流麗な雰囲気とリズミカルなビートが入り混じりつつ進行します。

どことなくコミカルで、聴いていて楽しくなってきます。それだけでなく、ところどころ現れる一息つくような部分との対比が、退屈させない魅力なのかもしれません。

静けさを与えてからのフィニッシュも歯切れがよくて好印象。約11分の楽章です。

■第2楽章【3分05秒】

約3分と短い楽章ですが、深い静けさを感じます。ちょっぴり大人のムードという印象です。

曲全体の魅力を高める効果持ち、静かなアクセントになっている楽章と言えます。導入部になっているため、自然の流れで第3楽章に移行します。

■第3楽章【9分48秒】

第2楽章を引き継いで静かに始まります。その後、落ち着いた美しい旋律に、時折弾けるようなきれいな高音が加わります。

中盤に差しかかる頃から、徐々に激しさを伴った表情を見せつつ、ゆっくりと盛り上がりを繰り返します。

終盤には軽快なリズムも顔をのぞかせ、キラキラしながら曲を閉じます。

ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第21番≪ワルトシュタイン≫」は、表情が豊かなピアノ・ソナタです。どちらかというと明るい感じ寄りです。

音とリズムの強弱に惹き付けられて、あっという間に聴き終わってしまいます。

ヴィルヘルム・ケンプの演奏は、派手さは少なめなのかもしれませんが心にスーッと入り込むような魅力があります。ベートーヴェンのピアノ作品に対する愛情のようなものを感じます。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタを全曲聴いてみたい気持ちになりました。

まとめ

ベートーヴェン・ピアノソナタ「ワルトシュタイン」ケンプ
  1. ワルトシュタインとは、ピアノ・ソナタ第21番を献呈された伯爵の名前。
  2. ベートーヴェン中期の代表曲のひとつで、心地よいピアノ・ソナタ。
  3. ケンプの演奏からベートーヴェン作品に対する強い想いを感じる気がする。

■関連CDのご案内です。
    

ヴィルヘルム・ケンプのピアノ演奏による、ベートーヴェン作曲のピアノソナタ第8番「悲愴」・第14番「月光」・第21番「ワルトシュタイン」・第23番「熱情」です。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA