当ブログ「芸術的散歩道」を運営していて再認識させられたことがあります。
それは1990年代に足を運んだ美術館のうち、閉館やリニューアルした美術館が存在していることです。
私には病気等で美術館に行けなかった時期があります。好きな絵画にさえ興味を持てなかったのです。
あれから30年。その間に東京の美術館も変わっていたのですね。
ブリヂストン美術館(現 アーティゾン美術館)

2020年(令和2年)1月にリニューアルオープンしたアーティゾン美術館(旧 石橋財団ブリヂストン美術館)を初めて訪れたのは1994年(平成6年)のことでした。
当時、ブリヂストン美術館で開催されていた「モネ展」の観賞が目的でした。
その4年前の1990年(平成2年)、私は高校を卒業し、就職と夜間大学の通学を目的に上京していました。上京してからは職場と学校と寮・アパートを往復するだけで、都会らしい場所はほとんど知りませんでした。
あれから30年。
ある意味悲しいことだけれど、現在では田舎のイントネーションで話すことができなくなってしまった。
故郷を出てからの期間の方が長くなったんだよね…
今でも「イントネーションがおかしい」と言われるけれどね。
仕事と大学で手一杯だったので、人の多い街に出ようという気持ちにすらなりませんでした。知っていたのは総武線沿線の駅くらいで、しかも水道橋駅よりも東側(千葉県より)だけです。
上京して4年後、そんな私を変える出来事が起こります。最初に勤めた職場を辞め、御茶ノ水でアルバイトをしていたときのことです。
バイトの休憩時間に何気なく先輩がこんな趣旨のことを言ったのです。
「上野の美術館に行ってきたよ。
バーンズコレクション展。
観ておいた方がいいよ!」
自慢するわけでもなく、自分が感じた気持ちが伝わってくる口調だったからでしょう。先輩の一言は私の心にスーッと入り込んで、存在感を広げていきました。
それがキッカケでした。以降、私は東京の美術館を巡ることになったのです。

国立西洋美術館で開催されたバーンズコレクション展で印象派の絵画に接した私は、次々と美術館を巡りはじめます。総武線だけでなく、山手線も利用するようになりました。
東京都中央区京橋といえば、とってもオシャレなビジネスの街といった感じがします。休日にブリヂストン美術館を訪れたので平日の賑わいはわかりませんでしたが、建物が建ち並ぶ雰囲気で想像はできました。
ブリヂストン美術館には「モネ展」のみの訪問となりましたが、おぼろげながら美術館に幅の広い階段があった記憶があります。(記憶の捏造かもしれません。)
そこで出会ったモネの絵画は非常にすばらしく、私の記憶に残ている作品が多数存在しています。

現在は、アーティゾン美術館としてリニューアルしたブリヂストン美術館。リニューアルオープン前と特別展を合わせて2度行かせていただきました。
これからも注目していきたい美術館です。


伊勢丹美術館

伊勢丹美術館には少なくとも2度の特別展で訪問させていただいています。
- アイルランド国立美術館名品展【1994年】
- コーン・コレクション展【1996年】
伊勢丹美術館は百貨店伊勢丹の新宿本店内にあった美術館です。1979年(昭和54年)に開館し、2001年(平成13年)3月に閉館しています。
入館者の減少等が理由のようですが、折しもバブル経済の崩壊が関係していたのではないかと推察します。
残念なことではありますが、伊勢丹美術館に行く機会があったことには感謝しています。


東武美術館

東武美術館には今後ご紹介する「ハンガリー国立ブダペスト美術館所蔵 ルネサンスの絵画」【1994年】で行かせていただきました。
伊勢丹美術館は新宿、東武美術館は池袋と、それぞれ大きな街にある美術館でした。
興味深いことに、大手百貨店が美術館を運営していたんですね。人の文化的な興味・関心を育む、とっても豊かなお金の使い方のように思います。
東武美術館は1992年(平成4年)に開館し、50回以上の特別展を開催した美術館です。惜しまれつつ2001年(平成13年)に、その歴史に幕を下ろしました。
私が実際に足を運んだのは1度だけでしたが、短い期間に多くの美術作品を目にする機会を提供してくださったことに感謝します。
まとめ
- ブリヂストン美術館はアーティゾン美術館としてリニューアルオープン。
- 伊勢丹美術館は2001年に閉館。
- 東武美術館は2001年に閉館。